講演情報
[P-088]流涎の多い在宅療養高齢患者への対応
○木森 久人1 (1. 医療法人社団八洲会 あしがら西湘歯科診療所)
【緒言・目的】
在宅療養高齢患者において流涎は、唾液分泌過多のみならず、嚥下機能低下、舌位異常、姿勢不良、口腔環境の悪化など複数の要因が関与する症状である。流涎は口角部,口唇周囲への発赤・感染を引き起こすだけでなく、外観上の問題から患者の尊厳低下や外出意欲の減退を招き、さらに介護負担増大の要因ともなる。しかしながら、流涎に対する歯科的介入は十分に検討されていないのが現状である。今回、流涎を主訴とした在宅療養患者に対し、PAP(Palatal Augmentation Prosthesis)を中心とした歯科的介入および薬物療法を併用し、良好な経過を得た症例を経験したため報告する。 【症例および経過】
症例は71歳男性。複数回の脳出血の既往があり左側麻痺を認め、日常生活は車椅子であった。初診時、持続的な開口および舌突出を認め、流涎が著明であった。食形態はペースト食で、含嗽は困難、口腔内清掃も不十分であった。まず口腔衛生管理を実施し、併せて食形態および食事姿勢の指導を行った。舌位異常および嚥下機能低下が流涎の一因と考え、PAPを作製・装着したところ、装着直後より開口および舌突出の減少が認められ、流涎症状は著明に改善した。PAPの装着継続は良好で、拒否は認められなかった。現在は食形態を刻み食へ移行でき、日常生活におけるQOLの改善が得られている。さらに流涎抑制を目的としてスコポラミン軟膏を併用し、追加的な改善効果が認められている。 【考察】
流涎に対する薬物療法は一定の効果が期待できる一方、副作用や全身状態への配慮が必要である。本症例では、PAPによる舌位および嚥下機能の改善を基盤とし、薬物療法を補助的に併用することで、より安定した流涎コントロールが可能であったと考えられる。患者および家族の高い治療意欲や認知機能が保たれていた点は本症例の限界ではあるが、在宅療養高齢患者において歯科が主体的に介入することで、流涎症状の改善およびQOL向上に寄与できる可能性が示唆された。 (COI開示:なし)(倫理審査対象外)
在宅療養高齢患者において流涎は、唾液分泌過多のみならず、嚥下機能低下、舌位異常、姿勢不良、口腔環境の悪化など複数の要因が関与する症状である。流涎は口角部,口唇周囲への発赤・感染を引き起こすだけでなく、外観上の問題から患者の尊厳低下や外出意欲の減退を招き、さらに介護負担増大の要因ともなる。しかしながら、流涎に対する歯科的介入は十分に検討されていないのが現状である。今回、流涎を主訴とした在宅療養患者に対し、PAP(Palatal Augmentation Prosthesis)を中心とした歯科的介入および薬物療法を併用し、良好な経過を得た症例を経験したため報告する。 【症例および経過】
症例は71歳男性。複数回の脳出血の既往があり左側麻痺を認め、日常生活は車椅子であった。初診時、持続的な開口および舌突出を認め、流涎が著明であった。食形態はペースト食で、含嗽は困難、口腔内清掃も不十分であった。まず口腔衛生管理を実施し、併せて食形態および食事姿勢の指導を行った。舌位異常および嚥下機能低下が流涎の一因と考え、PAPを作製・装着したところ、装着直後より開口および舌突出の減少が認められ、流涎症状は著明に改善した。PAPの装着継続は良好で、拒否は認められなかった。現在は食形態を刻み食へ移行でき、日常生活におけるQOLの改善が得られている。さらに流涎抑制を目的としてスコポラミン軟膏を併用し、追加的な改善効果が認められている。 【考察】
流涎に対する薬物療法は一定の効果が期待できる一方、副作用や全身状態への配慮が必要である。本症例では、PAPによる舌位および嚥下機能の改善を基盤とし、薬物療法を補助的に併用することで、より安定した流涎コントロールが可能であったと考えられる。患者および家族の高い治療意欲や認知機能が保たれていた点は本症例の限界ではあるが、在宅療養高齢患者において歯科が主体的に介入することで、流涎症状の改善およびQOL向上に寄与できる可能性が示唆された。 (COI開示:なし)(倫理審査対象外)
