講演情報

[P-091]高齢患者に用いてきた唾液持続吸引マウスピースはALS患者にも有用か

○森豊 理英子1、山田 大志1,2、並木 千鶴1、原 豪志3、朴 媛華1、耕田 のぞみ1、柳田 陵介1、戸原 玄1 (1. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科、2. 株式会社東京医歯学総合研究所、3. 衣笠あかり訪問歯科クリニック)
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【緒言・目的】筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者は摂食嚥下障害が進行すると,唾液が口腔内や咽頭に貯留するため持続吸引が必要となる場合が多い。従来の低圧持続吸引法では,吸引チューブを口腔内に保持し続ける必要があり,体動や体位交換時による脱落,夜間の不安定さが問題となる。近年は高齢化に伴い在宅療養者の増加に加え,介護資源の不足や夜間介助の負担増大が課題となっている。そこで,唾液吸引チューブとマウスピースを一体化させた唾液持続吸引マウスピース(以下、唾液吸引マウスピース)を考案した。これまで当科では,高齢患者等に対して適用し,装置の改良を重ねてきた。今回,ALS患者1例に適用し,その有用性を検証した。【症例および経過】49歳,男性。X-2年2月にALSと診断され,X−2年6月に胃瘻造設,X-2年8月に気管切開,9月より人工呼吸器管理となった。X年4月,「顎が外れた状態で,横を向くと唾液が口腔外へ流れてしまう」との主訴で当科訪問診療を受診した。ADLは寝たきりであった。顎関節脱臼が疑われ,顎関節の整復を試みたが,慢性化しており整復困難であった。常時開口に加え, 本人希望で側臥位をとっていたため,吸引チューブを口腔内に安定して保持することが困難であった。そこで,下顎の一般的な歯ぎしり用マウスピースを改良し,前方に吸引チューブを接続、臼歯部後方には口腔内に貯留する唾液を吸引する構造を付与した。吸引チューブを直接口腔内に安定して保持できていた時と唾液の吸引量は変わらず,さらに夜間の吸引回数が減少した。その後,口腔機能の更なる進行に合わせて改良を行なった。【考察】唾液吸引マウスピースは,唾液貯留に対する吸引を安定化させ,唾液誤嚥リスクの低減に寄与するとともに,夜間の吸引介助頻度を減らすことで介護者負担の軽減にもつながる可能性が示唆された。ALSを含む神経変性疾患患者や在宅療養中の寝たきり高齢者では,加齢や病状進行に伴い口腔機能が変化する一方,患者本人が症状を訴えることが難しい場合が多い。したがって,口腔内の観察と生活背景の把握を行ったうえで,装置形状の個別調整と継続的な評価を行うことが重要である。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)