講演情報
[P-094]訪問診療時に医療者が行う娯楽的介入(一発芸)と患者の自発的活動の関連
○亀田 千津子1、山口 浩平1、中川 量晴1、吉見 佳那子1、石井 美紀1、柳田 陵介1、戸原 玄1 (1. 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)
【目的】 訪問診療における摂食嚥下リハビリテーションでは,嚥下機能の維持・改善に加え,患者の生活への主体的関与をいかに引き出すかが重要な課題である。要介護高齢者では身体機能の大幅な改善が困難な症例も多く,医療者と患者の対人関係や心理的側面が行動変容に影響する可能性がある。本研究では,訪問歯科医師が診療中に行う娯楽的介入(一発芸)が,患者の自発的活動および有害事象に関連するかを検討した。
【方法】 2019年1月1日から2020年3月31日までに,訪問診療で摂食嚥下リハビリテーションを受けた患者の診療録を後方視的に調査した。2019年1月1日から6月30日の間に少なくとも1回訪問診療を受けた患者を対象とし,同期間内の初回訪問摂食嚥下リハビリテーション実施日を基準日と定義した。基準日から180日間の継続フォローが確認できた148名を解析対象とした。主要評価項目は基準日から180日以内に新たに出現した自発的活動,副次評価項目は同期間内に発生した入院,予定外受診,死亡とした。180日を超えて発生したイベントは解析対象から除外した。娯楽的介入(一発芸)とは,訪問歯科医師が診療中に実施した楽器演奏,歌唱,ダンス,手品,折り紙等の短時間かつ非侵襲的な娯楽的関与と定義した。年齢,性別,CFS(Clinical Frailty Scale),過去の診療期間を共変量としてロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】 解析対象148名中18名(12.2%)に自発的活動が認められ,外出や運動開始,外食など,患者が自ら新たに開始した日常行動が含まれていた。娯楽的介入を受けた群では,受けなかった群と比較して自発的活動の発生割合が高く,多変量ロジスティック回帰分析においても有意な関連が認められた(調整オッズ比5.42,95%信頼区間1.62–18.18,p=0.006)。一方,有害事象については有意な差は認められなかった。訪問診療下の摂食嚥下リハビリテーションでは,行動変容は生理的回復よりも心理的・対人的要因の影響を受けやすいと考えられる。本研究より,一発芸という短時間かつ非侵襲的な対人的関与は,短期的な臨床リスクを増加させることなく,自発的活動を促進する契機となり得る可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 倫理審査委員会承認番号 D2023-027)
【方法】 2019年1月1日から2020年3月31日までに,訪問診療で摂食嚥下リハビリテーションを受けた患者の診療録を後方視的に調査した。2019年1月1日から6月30日の間に少なくとも1回訪問診療を受けた患者を対象とし,同期間内の初回訪問摂食嚥下リハビリテーション実施日を基準日と定義した。基準日から180日間の継続フォローが確認できた148名を解析対象とした。主要評価項目は基準日から180日以内に新たに出現した自発的活動,副次評価項目は同期間内に発生した入院,予定外受診,死亡とした。180日を超えて発生したイベントは解析対象から除外した。娯楽的介入(一発芸)とは,訪問歯科医師が診療中に実施した楽器演奏,歌唱,ダンス,手品,折り紙等の短時間かつ非侵襲的な娯楽的関与と定義した。年齢,性別,CFS(Clinical Frailty Scale),過去の診療期間を共変量としてロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】 解析対象148名中18名(12.2%)に自発的活動が認められ,外出や運動開始,外食など,患者が自ら新たに開始した日常行動が含まれていた。娯楽的介入を受けた群では,受けなかった群と比較して自発的活動の発生割合が高く,多変量ロジスティック回帰分析においても有意な関連が認められた(調整オッズ比5.42,95%信頼区間1.62–18.18,p=0.006)。一方,有害事象については有意な差は認められなかった。訪問診療下の摂食嚥下リハビリテーションでは,行動変容は生理的回復よりも心理的・対人的要因の影響を受けやすいと考えられる。本研究より,一発芸という短時間かつ非侵襲的な対人的関与は,短期的な臨床リスクを増加させることなく,自発的活動を促進する契機となり得る可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 倫理審査委員会承認番号 D2023-027)
