講演情報

[P-096]生活保護受給開始前後の補綴関連診療行為を伴う歯科受診割合の変化:LIFE study

○塩田 千尋1、竹内 研時1,2、草間 太郎1,2、福田 治久3 (1. 東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野、2. 東北大学大学院歯学研究科歯学イノベーションリエゾンセンターデータサイエンス部門、3. 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座)
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【目的】
 これまで生活保護(以下,生保)受給者と非受給者の歯科受診状況について治療や検診といった目的別に比較した報告はあるが,新たに生保受給を開始した前後の歯科受診状況の変化を診療行為別に詳細に検討した研究は存在しない。本研究は,新規生保受給者が非受給者と比べ,生保開始前後で補綴関連診療行為を伴う歯科受診割合がどのように異なるか評価することを目的とした。
【方法】
 本研究は,LIFE Study(Longevity Improvement & Fair Evidence Study)で収集された1自治体の患者台帳,被保護者調査票,医療レセプトを用いた後ろ向きコホート研究である。2018年4月~2021年4月に保険加入状況が国民健康保険から生保に移行した20歳~75歳の生保受給者(生保群)と,生保開始月ごとに性別および年齢を共変量として算出した傾向スコアに基づくマッチングにより抽出された非生保の国民健康保険加入継続者(非生保群)を解析対象とした。結果変数は,生保受給開始前後各1年間の歯科レセプトから初診または再診が判別可能なものを使用し,補綴関連診療行為を伴う歯科受診の中から義歯新製とクラウンブリッジ新製を取り上げた。分割時系列解析により,生保受給開始直前から直後にかけての即時変化量および95%信頼区間(CI)を推定した。
【結果と考察】
解析対象者は各群2,893名(平均年齢54.2±15.3歳,女性51.9%)であった。生保開始前1年間と開始後1年間の義歯新製を伴う歯科受診割合は,生保群で1.1%と2.2%,非生保群で0.8%と0.8%,クラウンブリッジ新製を伴う歯科受診割合は,生保群で2.2%と5.1%,非生保群で2.5%と2.2%であった。分割時系列解析の結果,歯科受診割合は生保開始直後に義歯新製では1.27%ポイント(95%CI:0.73–1.81),クラウンブリッジ新製では2.08%ポイント(95%CI:1.23–2.94)の増加が認められた。生保受給開始後に義歯やクラウンブリッジの新製を伴う歯科受診が増加していたことから,受給前から受療を要する口腔状態にあったものの,補綴関連診療行為の受療が抑制されていた可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会承認番号 226530, 東北大学歯学研究科研究倫理委員会承認番号 40589)