講演情報

[PSY-2]義歯と嚥下から捉える口腔機能低下とのどフレイル

○古屋 純一1 (1. 昭和医科大学大学院歯学研究科口腔機能管理学分野)
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【略歴】
1996年 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
2000年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科 修了(高齢者歯科学)
2005年 岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座
2013年 ハーバード大学歯学部歯科補綴学講座留学
2015年 東京医科歯科大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野
2020年 昭和大学歯学部 高齢者歯科学講座
2023年 昭和医科大学歯学部 口腔機能管理学部門(高齢者歯科学より名称変更)
 在宅,施設,病院における訪問診療において,高齢者の食の問題に多職種で対応する機会は増加している。食事は生命維持に必要な栄養摂取の手段であると同時に,生活における重要な楽しみであり,これらの双方に影響を及ぼす摂食嚥下障害は高齢期の重大な問題である。特に,噛んで食べるという日常的な行為は,食べる楽しみの維持・向上に重要な役割を担っている。
 咀嚼機能や嚥下機能は,歯や義歯,舌機能,唾液など複数の口腔の要素によって支えられている。そのため,高齢期に多い歯の欠損を回復するだけでは,咀嚼機能や嚥下機能が十分に回復しないことも少なくない。さらに,口腔で行われる咀嚼と咽頭で行われる嚥下は一連の運動として連続しており,両者は相互に影響を及ぼしている。このような背景から,歯科が専門とするオーラルフレイルや口腔機能低下症は,咀嚼だけでなく嚥下を含めた複合的な口腔機能の低下を統合的に捉える概念として位置づけられている。
 一方で,嚥下障害を専門とする歯科医師は多くはない。そのため,一般の歯科医師にとっては,咽頭期の嚥下機能評価や治療を担う医科との連携が重要となる。歯科におけるオーラルフレイルや口腔機能低下症の展開のためには,のどフレイルや嚥下機能低下の対応を担保することが重要である。同様に,口腔機能の中心である歯や義歯の問題に対応できるのは歯科医師に限られているが,咽頭の専門家である耳鼻咽喉科医に義歯が嚥下に与える影響を知っていただき,医科から歯科につなげてもらうことができれば,医科歯科双方にとって有益となる。
 本講演では,義歯と嚥下に関する臨床および研究の知見を踏まえ,口腔と咽頭を連続的に捉える視点を提示し,義歯を含めた咀嚼機能と嚥下機能の関連を整理しながら,口腔機能低下とのどフレイルの関係について考察する。