講演情報

[SCS3-2]通所・在宅での栄養リスク潜在化を防ぐ歯科栄養連携「GLIM基準を用いた評価と一体的取組の実践具体策」

○麻植 有希子1 (1. SOMPOケア未来の介護推進部兼SOMPOケアフーズ栄養管理部)
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【略歴】
静岡県立大学大学院生活健康科学研究科博士課程修了。博士(食品栄養科学)、管理栄養士、臨床栄養師。大学院在学中に米国の病院にてRD(アメリカ登録栄養士)指導のもと臨床栄養を学ぶ。介護老人保健施設にて11年間、栄養ケア・マネジメントおよび給食経営管理に従事した後、特定施設の献立企画や栄養ケアシステムの構築、専門職教育に携わる。現在はSOMPOケアグループに所属。地域活動として、訪問栄養指導を行っている。

【所属学会・役職等】
日本健康・栄養システム学会、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会、日本老年医学会 各会員。元神奈川県老人保健施設協会栄養部会会長。横浜・川崎地域連携栄養フォーラム代表、高齢者栄養ケア連絡会代表。

【主な論文】
老健施設における栄養ケアの質向上や便性改善、高齢者の栄養状態と介護度の関連性に関する研究など。
【はじめに】 令和6年度介護報酬改定により、リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組が制度化されました。しかし、歯科医療機関から見れば、地域で活動する管理栄養士の具体的な動きや、連携のタイミングを模索されている現状もあるかと存じます。本報告では、老健事業および自社調査から見えた「栄養リスクの潜在化」に対し、国際的診断基準であるGLIM基準を軸に管理栄養士がどのように介入し、歯科職種との連携を深化させているか、その実態を述べます。
【栄養リスクの潜在化と通所現場の可能性】 通所サービスは利用者の食生活を直接観察できる貴重な場です。現場スタッフの主観的な観察では「完食している」と見落とされがちなケースでも、MNA®-SFによるスクリーニングを実施すると、隠れたリスクが浮き彫りになります。実際、当社調査においてもスクリーニング実施者の約3割に栄養リスクが認められました。管理栄養士は、このリスク層に対しGLIM基準(表現型:体重減少・低BMI・筋肉量減少/原因型:食事摂取量低下・炎症/疾患)に基づいた詳細なアセスメントを行い、低栄養の確定診断と要因分析を行います。特に「食事摂取量低下」の背景に口腔機能の問題が潜んでいる場合、歯科への確実な橋渡しを行うことが管理栄養士の重要な役割となります。
【歯科・栄養連携を加速させる具体的なアプローチ】 歯科との連携フローを整理し、より質の高い支援へと発展させるためのポイントを提示します。
1.「食べる力」を支える食支援: 歯科による咀嚼・嚥下評価に基づき、管理栄養士がその時の「食べる力」に最適な食形態や、低栄養改善のための「栄養密度」を調整し、現場のケアへ実装するプロセス。
2.GLIM基準による優先順位の共有: 低栄養の診断根拠を歯科側と共有し、どの利用者に、いつ、どの専門職が介入すべきかの判断基準を揃える。
3.ICTを活用した「伝言ゲーム」の解消: 歯科治療による食形態の変更指示を「デジタル食事札」等でリアルタイムに一括更新し、多職種間での指示ミスや伝達ロスを防ぎ、安全・迅速に食事提供へ反映させる仕組み。
【結語】 管理栄養士は、歯科職種が整えた口腔環境を、身体の維持・回復という「結果」に繋げるためのパートナーです。本講演では、介護現場や在宅における具体的な連携事例を通じ、歯科医師・歯科衛生士の皆様と共に、明日から実践できる一体的取組のあり方を議論したいと思います。