講演情報
[SCS5-1]福岡市歯科医師会における連携病院への歯科衛生士派遣事業
○岩佐 康行1 (1. 原土井病院)

【略歴】
1995年 東京医科歯科大学歯学部卒業
2000年 東京医科歯科大学大学院(高齢者歯科)修了
聖隷三方原病院リハビリテーション科 研修
2001年 聖隷三方原病院リハビリテーション科歯科 開設
原土井病院歯科 勤務
現在 原土井病院副院長,歯科部長,摂食・栄養支援部長
1995年 東京医科歯科大学歯学部卒業
2000年 東京医科歯科大学大学院(高齢者歯科)修了
聖隷三方原病院リハビリテーション科 研修
2001年 聖隷三方原病院リハビリテーション科歯科 開設
原土井病院歯科 勤務
現在 原土井病院副院長,歯科部長,摂食・栄養支援部長
【背景と目的】
福岡市歯科医師会は,福岡県歯科医師会事業を受けて2014年に地域連携室(当時は在宅歯科医療連携室)を設置,同じく2023年に「口腔管理推進室」を設置している。これらは地域歯科医療委員会の中の組織「口腔管理推進室・地域連携室」として,歯科領域を包括する多職種連携を一体的に進めている。口腔管理推進室設置の主な目的は,①連携病院に歯科衛生士を派遣して,無料口腔アセスメント等を実施する,②入院患者に対して歯科訪問診療を実施する,③退院後も継続的に口腔健康管理を行えるように,通院または訪問診療で対応可能な歯科医院を紹介する,などである。
【内容】
事業開始にあたり,候補となる病院の地域連携室に連絡をとり,前向きな回答が得られた病院を訪問して事業説明を行い,さらに話し合いを進めた。その結果,初年度は2病院と提携を結んで事業を開始することができた。その後,2年目には4病院,3年目の現在は5病院と連携事業を行っている。連携病院を機能で分けると,高度急性期1,急性期1,急性期・回復期2,回復期1で,歯科衛生士への要望に違いがある。高度急性期病院は重症患者が多く,ICUやSCU,脳卒中患者の割合が高い。1人あたりの評価に時間を要すため対応可能人数は限られるが,院内の協力体制は良好である。歯科訪問診療の調整,歯科受診確認表の作成などの他に,糖尿病患者への指導など教育的な関わりも求められている。急性期および急性期・回復期病院では,再アセスメントや継続的な口腔健康管理のニーズが高い。入院中の義歯調整や抜歯などの訪問診療が増加傾向で,また,退院時には地域の歯科医療機関の紹介も行われており,幅広い連携ができている。回復期病院では,口腔アセスメントを契機にこれまで見逃されていた腫瘍の発見につながるなどの事例があり,病棟スタッフに口腔健康管理の重要性が理解されてきている。結果,スタッフ研修の実施といった教育面での関与も行われている。
【考察と課題】
連携が進んだ背景として,事業開始翌年,2024年度診療報酬改定(医科)において歯科との連携が評価されたことは一因であろう。しかし実際には,病院内に連携に対して前向きな医師が存在したことと,現場を担当する看護師,特に看護部長が病棟スタッフに歯科への依頼を促してくれたことが大きかったと考える。そして,各病院からの要望に対して,派遣された歯科衛生士が適切に対応していることも大きい。これらの結果,歯科衛生士の雇用が検討されたり,病院広報や地域に向けたイベントで歯科の情報発信をしてくれたりといった動きもあり,今後の連携の発展が期待される。一方で,連携の中心的な医師が異動した病院では,新たな体制への対応が課題となっている。
参考:令和7年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)(区分番号)第73
福岡市歯科医師会は,福岡県歯科医師会事業を受けて2014年に地域連携室(当時は在宅歯科医療連携室)を設置,同じく2023年に「口腔管理推進室」を設置している。これらは地域歯科医療委員会の中の組織「口腔管理推進室・地域連携室」として,歯科領域を包括する多職種連携を一体的に進めている。口腔管理推進室設置の主な目的は,①連携病院に歯科衛生士を派遣して,無料口腔アセスメント等を実施する,②入院患者に対して歯科訪問診療を実施する,③退院後も継続的に口腔健康管理を行えるように,通院または訪問診療で対応可能な歯科医院を紹介する,などである。
【内容】
事業開始にあたり,候補となる病院の地域連携室に連絡をとり,前向きな回答が得られた病院を訪問して事業説明を行い,さらに話し合いを進めた。その結果,初年度は2病院と提携を結んで事業を開始することができた。その後,2年目には4病院,3年目の現在は5病院と連携事業を行っている。連携病院を機能で分けると,高度急性期1,急性期1,急性期・回復期2,回復期1で,歯科衛生士への要望に違いがある。高度急性期病院は重症患者が多く,ICUやSCU,脳卒中患者の割合が高い。1人あたりの評価に時間を要すため対応可能人数は限られるが,院内の協力体制は良好である。歯科訪問診療の調整,歯科受診確認表の作成などの他に,糖尿病患者への指導など教育的な関わりも求められている。急性期および急性期・回復期病院では,再アセスメントや継続的な口腔健康管理のニーズが高い。入院中の義歯調整や抜歯などの訪問診療が増加傾向で,また,退院時には地域の歯科医療機関の紹介も行われており,幅広い連携ができている。回復期病院では,口腔アセスメントを契機にこれまで見逃されていた腫瘍の発見につながるなどの事例があり,病棟スタッフに口腔健康管理の重要性が理解されてきている。結果,スタッフ研修の実施といった教育面での関与も行われている。
【考察と課題】
連携が進んだ背景として,事業開始翌年,2024年度診療報酬改定(医科)において歯科との連携が評価されたことは一因であろう。しかし実際には,病院内に連携に対して前向きな医師が存在したことと,現場を担当する看護師,特に看護部長が病棟スタッフに歯科への依頼を促してくれたことが大きかったと考える。そして,各病院からの要望に対して,派遣された歯科衛生士が適切に対応していることも大きい。これらの結果,歯科衛生士の雇用が検討されたり,病院広報や地域に向けたイベントで歯科の情報発信をしてくれたりといった動きもあり,今後の連携の発展が期待される。一方で,連携の中心的な医師が異動した病院では,新たな体制への対応が課題となっている。
参考:令和7年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)(区分番号)第73
