講演情報

[SCS6-4]老年歯科医学教育における臨地実習の取組
―学生から患者さんは「生活者」という視点を引き出す教育実践―

○本田 里恵1 (1. 穴吹医療大学校)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【学歴】
香川県歯科技術専門学校卒業 1978年
近畿大学豊岡短期大学(通信 幼児教育学科) 2003年
放送大学 教養学部 2006年
放送大学大学院部 文化科学研究科 2011年
 学士(教養)論文『ナイチンゲールにおける 看護思想の基礎的視座』

【職歴】
香川県歯科技術専門学校 1979年~1985年
フリーランス 1985年~
穴吹医療大学校 非常勤講師 2007年~

【資格】
介護支援専門員
初級産業化ウンセラー

【著書】
『歯で泣く人笑う人』(医歯薬出版)
『解く 介護の思想の 人はなぜ介護するのか』(共著 久美出版)
 現在の歯科衛生士教育において高齢者歯科学では、口腔健康(衛生・機能)管理に必要な知識・技術の習得に重点が置かれている 。特に要介護高齢者への対応では教材の充実により技術習得は進んでいるが、マナボット(口腔周辺器官シュミレーター)等に対するマニュアル的態度のみの教育では不十分である 。本校では、ケアの本質を「ヒューマンケア」と捉え、患者(対象者)を病者としてだけでなく、独自の価値観や背景を持つ「生活者」として尊重し、その人らしい生き方を支援できる学生教育を目指している 。

 特別養護老人ホームでの臨地実習において、1年次から段階的に実習を進め、3年次には「その人らしさ」を引き出すために、以下の3つの教育的アプローチを実施した。
1、コミュニケーションの深化:「管理する者・管理さ
 れる者」の関係ではなく、「共にその場を生きる人間」としての対話を重視した 。
2、主観的情報の収集:患者本人の習慣、楽しみ、希望 言葉にならない想いに加え、家族や担当スタッフの願いも聴取対象とした 。
3、思考の可視化:歯科衛生過程記録のアセスメントシートに、日常会話からの主観的情報を記録する欄を設けた。また学生が自身の問題点を評価するシートも活用した。

 実習後の考察において、学生たちは「多職種連携の理解」「患者中心の歯科衛生介入」「歯科衛生過程の目的の再定義」について言及していた。これは、本実習のねらいであった『思考変容』の教育効果だと考える。患者(対象者)に「生活者」の視点を持つことは、高齢者歯科医学の歯科衛生実習において、単なる技術習得ではなく、相手を一人の人間として尊重し思いやりと温かさをもって、心身に寄り添う「ヒューマンケア」として不可欠である 。 シンポジウムでは、本校の特別養護老人ホームにおける臨地実習の取り組みの一端を紹介する。