講演情報

[課題2-3]高齢者に対する新義歯装着後の咀嚼機能改善に関与する口腔機能因子の解明

○寺岡 正譜1、畑中 幸子1、田畑 友寛1、鈴木 鵬生1、渋谷 佳奈子1、田上 理沙子2、大澤 淡紅子1、古屋 純一1 (1. 昭和医科大学 大学院 歯学研究科 口腔機能管理学分野、2. 昭和医科大学 歯学部 口腔健康管理学講座 口腔機能管理学部門)
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【目的】
 近年,高齢期における複合的な口腔機能低下が全身の機能に影響を与えること,特に咀嚼機能低下が食品摂取の多様性や摂食量に影響することが明らかとなっている。新義歯製作の目的の1つは,口腔の統合的機能である咀嚼機能の改善である。しかし,高齢期には口腔機能が様々な点で低下しやすく,実臨床では,新義歯製作による咀嚼機能の改善効果が限定的な場合もよく経験する。そこで本研究では,高齢者に対する新義歯製作による咀嚼機能の改善に関与する口腔機能の因子を解明することを目的とした。
【方法】
 新義歯製作を希望して外来を受診した患者のうち,旧義歯と新義歯で口腔機能精密検査を行った高齢者105名(平均年齢80.6±6.6歳)が研究に参加した。旧義歯から新義歯への移行後に咀嚼機能検査の値が改善した群(改善群:0)と改善しなかった群(非改善群:1)に分類し,関連しうる口腔機能の因子を探索するために二項ロジステック回帰分析を行った。独立変数は,年齢,性別,臼歯部の咬合支持,口腔機能精密検査の各検査の該当有無と機能低下の該当項目数とした。有意水準は5%とした。
【結果と考察】
 旧義歯から新義歯に移行後,64名で咀嚼機能が改善した。多変量解析の結果,旧義歯使用時における,口腔乾燥,咬合力低下,嚥下機能低下,およびODK /ka/の低下への該当が,咀嚼機能非改善群の特徴として抽出された。また,ODK /pa/低下および口腔機能低下の該当項目数の多さが,咀嚼機能改善群の特徴として抽出された。新義歯の製作は,良好な咀嚼に必要な口腔の環境を整備するが,唾液分泌量,咀嚼筋力,舌後方の運動機能といった生理的な機能が不十分であったり,嚥下機能そのものが低下していると,咀嚼機能の改善は限定的である可能性が示唆された。一方,咀嚼に関連する表情筋の運動機能は不良な義歯によって低下しやすく,新義歯製作による恩恵を受けやすいこと,また口腔機能低下の該当項目数が多いと,より綿密な口腔機能管理を受けるため,咀嚼機能向上によい影響を与える可能性が示唆された。以上より,高齢者に対する新義歯製作の際には,様々な口腔機能の因子が関与するため,包括的な口腔機能評価を行い,口腔機能管理を行う必要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(昭和医科大学 倫理審査委員会承認番号 21-075-B)