講演情報
[課題2-5]静電容量型圧力マッピングセンサーを備えた咬合力計を用いた地域在住高齢者の咬合力とサルコペニアの関連
○小柳 快1,2、白部 麻樹2、本川 佳子2、畑中 幸子1、橋本 はるか1,2、田畑 友寛1、寺岡 正譜1、岩崎 正則2,3、古屋 純一1、平野 浩彦2、大渕 修一2 (1. 昭和医科大学、2. 東京都健康長寿医療センター研究所、3. 北海道大学大学院歯学研究院)
【目的】
高齢者においてサルコペニアは生活機能やQOLの低下に直結する重要な課題であり,口腔機能との関連も注目されている。先行研究において,口腔機能の一つである咬合力の低下はサルコペニアの下位項目である筋肉量や握力と関連することの報告がある。咬合力は主に現在歯数と咀嚼筋によって決定されるが,不可逆な因子である現在歯数の影響を十分に考慮した検討は限られている。近年,静電容量型圧力マッピングセンサーを備えた咬合力計(Oramo-bf)が開発され,歯列全体の咬合力を高い真度と精度で測定可能となった。そこで本研究では,現在歯数の影響を可及的に排除した上で,Oramo-bfを用いて測定した咬合力とサルコペニアとの関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2024年に実施したお達者健診研究に参加した地域在住高齢者のうち,現在歯数の影響を可及的に排除するため,現在歯数が20歯以上の者を対象とした。サルコペニアの診断基準にはAWGS2019を用いた。サルコペニアを目的変数(0=非該当,1=該当),咬合力を説明変数とし,年齢,性別,併存疾患数,日常生活動作,食品摂取の多様性,認知機能,精神状態,臼歯部の咬合接触関係などの交絡因子を含めた二項ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
欠損データを有する参加者を除外した433名(男性155名,女性278名,平均年齢72.8±6.2歳)を解析対象とした。解析対象者のうち56名(12.9%)がサルコペニアに該当した。交絡因子を調整した後でも,咬合力は独立してサルコペニアと有意に関連していた(オッズ比[95%信頼区間]=0.87[0.78-0.98])。本研究の結果から,一般的に食品摂取に不自由がないと考えられている20歯以上の現在歯数が維持されている高齢者においても,咀嚼筋の機能低下がサルコペニアと関連する可能性があり,サルコペニアの予防を考える上では,現在歯数の維持に加えて,咀嚼筋の筋量や質にも着目する必要性が示唆された。また,Oramo-bfによる咬合力測定は簡便かつ可搬性に優れており,今後,地域在住高齢者におけるサルコペニアのリスク因子評価としての応用が期待できると考えられた。
(COI開示:なし)
東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会承認(R22-034)
高齢者においてサルコペニアは生活機能やQOLの低下に直結する重要な課題であり,口腔機能との関連も注目されている。先行研究において,口腔機能の一つである咬合力の低下はサルコペニアの下位項目である筋肉量や握力と関連することの報告がある。咬合力は主に現在歯数と咀嚼筋によって決定されるが,不可逆な因子である現在歯数の影響を十分に考慮した検討は限られている。近年,静電容量型圧力マッピングセンサーを備えた咬合力計(Oramo-bf)が開発され,歯列全体の咬合力を高い真度と精度で測定可能となった。そこで本研究では,現在歯数の影響を可及的に排除した上で,Oramo-bfを用いて測定した咬合力とサルコペニアとの関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2024年に実施したお達者健診研究に参加した地域在住高齢者のうち,現在歯数の影響を可及的に排除するため,現在歯数が20歯以上の者を対象とした。サルコペニアの診断基準にはAWGS2019を用いた。サルコペニアを目的変数(0=非該当,1=該当),咬合力を説明変数とし,年齢,性別,併存疾患数,日常生活動作,食品摂取の多様性,認知機能,精神状態,臼歯部の咬合接触関係などの交絡因子を含めた二項ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
欠損データを有する参加者を除外した433名(男性155名,女性278名,平均年齢72.8±6.2歳)を解析対象とした。解析対象者のうち56名(12.9%)がサルコペニアに該当した。交絡因子を調整した後でも,咬合力は独立してサルコペニアと有意に関連していた(オッズ比[95%信頼区間]=0.87[0.78-0.98])。本研究の結果から,一般的に食品摂取に不自由がないと考えられている20歯以上の現在歯数が維持されている高齢者においても,咀嚼筋の機能低下がサルコペニアと関連する可能性があり,サルコペニアの予防を考える上では,現在歯数の維持に加えて,咀嚼筋の筋量や質にも着目する必要性が示唆された。また,Oramo-bfによる咬合力測定は簡便かつ可搬性に優れており,今後,地域在住高齢者におけるサルコペニアのリスク因子評価としての応用が期待できると考えられた。
(COI開示:なし)
東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会承認(R22-034)
