講演情報

[SY6-4]研修施設の立場から考える~摂食機能療法専門歯科医師を魅力あるキャリアへ~

○谷口 裕重1 (1. 朝日大学歯学部摂食嚥下リハビリテーション学分野)
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【学歴・職歴】
2008年 摂食・嚥下リハビリテーション学分野 助教
2010年 新潟大学医歯学総合病院 摂食・嚥下機能回復部 講師
2012年 Johns Hopkins University, Post-Doctoral Fellow
2015年 藤田医科大学 医学部 歯科・口腔外科 講師
2018年 朝日大学歯学部 障害者歯科学分野 准教授
2020年 朝日大学歯学部 摂食嚥下リハビリテーション学分野 准教授
2023年 朝日大学歯学部 摂食嚥下リハビリテーション学分野 主任教授
2024年 朝日大学病院 口腔管理・食支援センター センター長(併任)

【資格】
日本老年歯科医学会 摂食機能療法専門歯科医師/指導医
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士
日本栄養治療学会 認定歯科医
日本リハビリテーション栄養学会 リハ栄養指導士

【著書】
患者さんにしっかり説明できる4 摂食嚥下リハビリテーション読本
本シンポジウムでは、大学・病院における研修施設の立場から、摂食機能療法専門歯科医師の現状と今後の展開について考察する。
まず現状として、専門歯科医師の多くが大学・病院に所属しており、開業医の割合は1割未満にとどまっている。学会全体では大学・病院・開業医はほぼ均等であることを考えると、この乖離は制度への参入経路が大学や病院に偏っていることを示唆している。また年齢構成にも課題がある。中心は40代であるが、50〜60代が半数以上を占めており、今後の持続的な発展のためには若手歯科医師の参入が不可欠である。さらに地域分布にも偏在が認められ、都市部への集中がみられる。臨床現場では、摂食嚥下障害の病態が多様化・複雑化しており、地域での対応力の強化が求められている。
一方で、摂食嚥下リハビリテーションに関心を有する歯科医師は着実に増加している。日本摂食嚥下リハビリテーション学会には約3,000名の歯科医師が所属し、職種別では言語聴覚士に次いで2番目に多い。年齢分布では40代以下が6割を占め、そのうち30代以下が全体の約3割存在する。すなわち、次世代の担い手はすでに地域に広く存在している。
重要なのは、この関心を「専門性」へと転換する仕組みである。摂食嚥下リハビリテーションは体系的に学ぶ機会が限られており、セミナーや研修会で断片的に知識を得ながら手探りで臨床を行っているケースも少なくない。その結果、難しさから実践を断念してしまうことも課題である。
本制度の意義は、このような「学びの断片化」を解消し、実際の臨床現場において集中的かつ体系的に研修できる点にある。さらに、摂食機能療法専門歯科医師として活動することは、在宅・病院・施設を横断した診療の機会を得るだけでなく、多職種連携の中核として地域医療に関与できる点に大きな意義がある。診療の幅を広げることで臨床効果を実感でき、日常臨床に新たな意義とやりがいをもたらす。
本シンポジウムでは、大学・病院・地域歯科診療所それぞれの立場からの実践を共有するとともに、摂食機能療法専門歯科医師のプレゼンスをいかに高め、地域へと展開していくかについて議論したい。