講演情報

[SY7-1]多職種協働によるエビデンス創出と社会実装

○樺山 舞1、神出 計1 (1. 大阪大学 医学系研究科 保健学専攻)
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【学歴】
1998年 大阪大学,医学部,保健学科看護学専攻 卒業
2000年 大阪大学大学院,医学系研究科,保健学専攻 博士前期課程修了(保健学修士)
2001年 University of Oregon,College of Education,修士課程修了(教育学修士)(2000年度フルブライト奨学生)
2017年 大阪大学大学院,医学系研究科,保健学専攻博士号取得(保健学博士)

【職歴】
2002年~ 大阪府富田林保健所狭山支所,保健師
2003年~ 枚方市役所健康部保健センター,保健師
2012年~ 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻,助教
2020年~ 同上, 特任准教授
2021年04月~現在 同上,教授

【研究テーマ】
介護予防、ソーシャルキャピタルと健康、生活習慣病予防保健指導、地域保健
 2020年度から、健康寿命延伸を目指した能勢健康長寿研究(以下、のせけん)を開始した。これは、大阪府能勢町、大阪大学、オムロンヘルスケア社による産官学共同の取組みであり、日々の家庭血圧測定が認知機能低下や老年症候群の発症を抑制できるかを地域介入デザインにより検証するものである。
 当時、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業(以下、一体的実施)が全国ではじまった時期でもあり、能勢町では本取組を町の保健事業の一環として位置づけ実施された。地域の行政課題や制度的基盤と研究活動を連動させながら展開したことは、本取組の継続・発展につながった大きな要因であったと考えられる。また、通いの場等の地域の集まりをはじめとした多様な場面を基盤として展開したことで、自ら健康イベント等へ参加する健康意識の高い層のみに偏ることなく、地域住民を幅広く対象とした介入・評価が可能となった。このような悉皆性の高い地域ベースの実践研究は、選択バイアスを一定程度低減しながら、実社会における介入効果や地域全体への波及効果を検証できる点で学術的意義も大きい。
 我が国では、高血圧は健康寿命を脅かす脳卒中や認知症の重要なリスク因子である一方、自覚症状の乏しさなどから未受診・治療中断者も多く、地域全体で血圧管理を支える仕組みづくりが求められている。本取組では、通いの場等を通じて、町民が家庭血圧を継続的に測定・記録することを推進し、地域全体のヘルスリテラシー向上と血圧管理行動の定着を図ってきた。豊かな地域のつながり(ソーシャル・キャピタル)を基盤としたこれらの介入は、今後の継続により、益々の包括的な健康増進につながることが期待される。 さらに、大学内外の多分野・多職種連携を柔軟に広げて取り組む中で、歯学分野との協働も加わり、歯科医師・歯科衛生士が公民館へ直接出向き、保健師と協働しながらオーラルフレイル対策の体制を構築したことで、包括的な介護予防対策へと発展している。
 このように、大学内外の多分野・多職種が連携しながら研究と地域実践を発展させてきたことは、地域課題に即したリアルワールドデータに基づくエビデンスの創出と、持続可能な予防システムの社会実装につながったと考えられる。本シンポジウムでは、地域・行政・大学・企業の協働を通じて得られた知見や地域への波及効果を紹介しながら、多職種協働による実践と社会実装のあり方について考察を深めたい。