講演情報

[優秀P衛生-2]社会的フレイルを併存する口腔機能低下症患者に対し段階的な口腔機能管理を行い改善に至った症例

○髙橋 彩波1、大沢 由茉1、竜 正大2、上田 貴之2 (1. 東京歯科大学水道橋病院歯科衛生士部、2. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座)
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【緒言・目的】
 社会的フレイルは高齢者の11~18%で見られ,オーラルフレイルとの関連も示されているため,口腔機能管理においても適切な対応が必要である。今回,社会的フレイルを併存する患者に対し,患者のペースに合わせた段階的な口腔機能管理を行い機能改善に至った症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
 83歳の男性。義歯床下粘膜の疼痛と咀嚼困難を主訴に来院した。認知症の妻の介護のため頻回来院が困難で,口腔機能への関心も低い状態であった。社会参加や周囲の人との会話の機会が少ないとのことから,社会的フレイルであると判断した。咀嚼困難の訴えに加え,医療面接時に滑舌が悪かったことから口腔機能低下が疑われ,歯科医師の指示により口腔機能精密検査を行った結果,口腔衛生状態,咬合力,舌口唇運動機能の3項目が低下に該当し,口腔機能低下症と診断された。義歯不適合と残存歯の清掃不良を認めたため,歯科医師が義歯の新製を行い,歯科衛生士が口腔機能管理を実施することとした。まず口腔機能維持の重要性を説明し,舌ブラシの使用指導に加え,地域活動への参加や周囲の人と積極的に話すなど,日常で無理なく実践できる指導を行い,患者のペースに合わせて段階的な管理を行った。
 妻の介護のために5か月間来院できない期間があったが,それ以外は1か月毎に義歯製作と口腔機能評価・管理を行った。2か月毎に新たな訓練を取り入れ,達成可能な小目標にわけた段階的な指導を行った。
 9か月後の新義歯装着時には口腔乾燥,舌圧,咀嚼機能が新たに低下に該当した一方,舌ブラシの使用が習慣化し,孫と話す機会が増え,口腔衛生状態と舌口唇運動機能が改善した。数回の義歯調整後,噛み応えのある食品を摂取するよう指導を行った。
 翌月の再評価では食形態を工夫した食事が実践され,咬合力や咀嚼機能が改善し低下該当は2項目となり,口腔機能低下症から回復した。患者にはセルフケアを支援する目的で訓練法を記載した用紙を渡し,口腔機能管理を継続している。
 本報告の発表は患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 社会的フレイルがあり,口腔機能に関心の低い患者に対し,家庭環境や生活様式に合わせた家族や地域との関わりを促す支援を行った。食事指導を含めた段階的な口腔機能管理を行ったことにより,患者の意識を高め,口腔機能が改善したと考えられる。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)