講演情報
[優秀P衛生-3]歯科訪問診療における歯科衛生士の長期的関与が意思疎通支援の導入に寄与した橋出血後遺症患者の一症例
○山城 満喜子1、首藤 嵩典1、是本 夕華1、相羽 珠緒1、宮田 由紀子1、松尾 浩一郎2、樋口 和徳1 (1. みんなの歯医者さん、2. 東京科学大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野)
【緒言・目的】
橋出血は重度の後遺症を残すことが多く,嚥下障害や意思疎通困難を伴う症例では在宅療養における生活の質(QOL)の維持が大きな課題となる。今回,重度嚥下障害および意思疎通困難を呈した在宅療養中の橋出血後遺症患者に対し,歯科訪問診療において同一歯科衛生士が長期的に関与した経過を通じ,歯科衛生士の継続的関与が口腔ケア受容および意思疎通支援導入に果たす役割について検討する。
【症例および経過】
初診時56歳男性,橋出血後遺症による右半身麻痺および重度嚥下障害を認める。気管切開下,胃瘻(PEG)管理,意思表示は可能であるが,初診時口腔内への強い拒否反応を示し,口腔ケアは著しく困難であった。同一歯科衛生士が月4回の頻度で訪問し,患者の反応に応じた声掛けおよび非侵襲的接触から段階的に口腔ケアを導入した。口腔ケア需要度は開口協力度を用い「0:拒否,1:一部許容,2:自発的開口」の3段階で評価した。また意思表出能力について,表出手段に基づき「0:意思表出不能,1:表情・反応のみ,2:Yes/No反応,3:指差しによる選択反応,4:文字盤を用いた意図的意思表出」の5段階で経時的に評価した。また,家族の意思疎通による満足度は5段階評価で参考指標として聴取した。なお本報告に際し家族より文書による同意を得た。介入開始時の開口協力度は0であったが,約3か月後に1,1年後には2へ改善し,継続的な口腔衛生管理が可能となった。嚥下内視鏡検査では食道入口部開大不全を認め,経口摂取再開は困難と判断された。意思表出能力は介入開始時1であったが,多職種カンファレンスを経て文字盤を用いた意思疎通支援を導入した結果,指差しによる選択反応が可能となり,評価は4へ改善した。家族満足度は導入前1から導入後4へ向上した。
【考察】
本症例では摂食嚥下機能の改善が困難な状況においても,歯科衛生士の長期的・継続的関与により口腔ケア受容が得られ,意思疎通支援導入の基盤形成につながった。歯科訪問診療における歯科衛生士の役割は,口腔機能管理にとどまらず,多職種と連携し在宅療養患者の意思表出および生活の質を支援する点にあることが示唆された。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
橋出血は重度の後遺症を残すことが多く,嚥下障害や意思疎通困難を伴う症例では在宅療養における生活の質(QOL)の維持が大きな課題となる。今回,重度嚥下障害および意思疎通困難を呈した在宅療養中の橋出血後遺症患者に対し,歯科訪問診療において同一歯科衛生士が長期的に関与した経過を通じ,歯科衛生士の継続的関与が口腔ケア受容および意思疎通支援導入に果たす役割について検討する。
【症例および経過】
初診時56歳男性,橋出血後遺症による右半身麻痺および重度嚥下障害を認める。気管切開下,胃瘻(PEG)管理,意思表示は可能であるが,初診時口腔内への強い拒否反応を示し,口腔ケアは著しく困難であった。同一歯科衛生士が月4回の頻度で訪問し,患者の反応に応じた声掛けおよび非侵襲的接触から段階的に口腔ケアを導入した。口腔ケア需要度は開口協力度を用い「0:拒否,1:一部許容,2:自発的開口」の3段階で評価した。また意思表出能力について,表出手段に基づき「0:意思表出不能,1:表情・反応のみ,2:Yes/No反応,3:指差しによる選択反応,4:文字盤を用いた意図的意思表出」の5段階で経時的に評価した。また,家族の意思疎通による満足度は5段階評価で参考指標として聴取した。なお本報告に際し家族より文書による同意を得た。介入開始時の開口協力度は0であったが,約3か月後に1,1年後には2へ改善し,継続的な口腔衛生管理が可能となった。嚥下内視鏡検査では食道入口部開大不全を認め,経口摂取再開は困難と判断された。意思表出能力は介入開始時1であったが,多職種カンファレンスを経て文字盤を用いた意思疎通支援を導入した結果,指差しによる選択反応が可能となり,評価は4へ改善した。家族満足度は導入前1から導入後4へ向上した。
【考察】
本症例では摂食嚥下機能の改善が困難な状況においても,歯科衛生士の長期的・継続的関与により口腔ケア受容が得られ,意思疎通支援導入の基盤形成につながった。歯科訪問診療における歯科衛生士の役割は,口腔機能管理にとどまらず,多職種と連携し在宅療養患者の意思表出および生活の質を支援する点にあることが示唆された。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
