講演情報

[優秀P衛生-5]管理栄養士との連携による口腔機能管理および栄養介入が口腔機能低下症高齢者に有効であった一症例

○北垣 有季子1、鎌田 聡仁2、前田 芙沙3、江戸野 大河3、栗山 咲希1、内田 真唯1、大神 浩一郎3 (1. 東京歯科大学千葉歯科医療センター歯科衛生士部、2. 東京歯科大学千葉歯科医療センター補綴科、3. 東京歯科大学千葉歯科医療センター総合診療科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【緒言・目的】
 口腔機能低下症は加齢だけではなく,疾患や障害など,様々な要因によって口腔の機能が複合的に低下している病態である。この状態を長期間放置すると,低栄養やフレイル,サルコペニアなど全身の健康状態に悪影響を及ぼすとされている。近年,咀嚼や嚥下などの口腔機能低下は,食事量や食品選択の制限を通じて低栄養を招き,筋量・筋力低下を助長する可能性が指摘されている。しかし,口腔機能と栄養状態を包括的に評価し,フレイルやサルコペニアとの関連を検討した報告は十分ではない。そこで,本症例は,口腔機能評価および栄養状態指標を用いて両者の関連を検討することを目的とした。
【症例および経過】
 患者は88歳男性で,上顎義歯の不適合を主訴として来院した。使用中の義歯には支台装置がなく,義歯の沈下に伴う疼痛および動揺が認められたため,再製作が必要と診断した。既往歴として17年前および2年前に脳梗塞,5年前に甲状腺がんを発症し,治療歴を有していた。後遺症はなく,ADLに問題はない。義歯製作後 ,硬い食品の摂取が困難となり,咬合力の低下と体力の減少を訴えた。口腔機能低下症を疑い,口腔機能精密検査,MNA評価,InBodyを実施した。口腔機能精密検査では,口腔衛生状態5.64×10⁷CFU/mL,咬合力154N,オーラルディアドコキネシスでは/pa/5.0回,/ta/5.2回,/ka/4.6回,低舌圧18.1kPaの4項目が低値であり,口腔機能低下症と診断された。口腔衛生状態と低舌圧に着目し,口腔衛生指導ならびに舌抵抗訓練など口腔機能管理を実施した。またGLIM基準にてMNA評価を行い,低栄養のリスクありと判定された。その後のアセスメントでは,半年での体重減少はなく,BMI,ふくらはぎの周囲径も基準値以内であった。しかし体重は減少傾向であることから,体重増加を目的に,管理栄養士と連携を図りDVSを使用した栄養指導を開始した。なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 介入前後で口腔衛生状態に変化を認めた。検査を行った結果,細菌数の減少が認められた。低舌圧においては,低値ではあるが上昇し舌抵抗訓練の効果を認めた。また,管理栄養士の指導の下,初診時より体重が増加したことから栄養状態の改善にも寄与できたと考える。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)