講演情報

[優秀P地域-3]高齢肺炎患者への入院中の歯科介入と退院後の生命予後:2年の追跡調査

○大井 孝1,2、菊地 真友3、服部 佳功2、山口 哲史2、田中 恭恵2、猪狩 洋平2、小宮山 貴将2、伊藤 佳彦2、伊藤 有希2、関 大蔵2、佐藤 瑛子2、小林 誠一4、矢内 勝4 (1. 石巻赤十字病院 歯科、2. 東北大学大学院歯学研究科 加齢歯科学分野、3. 石巻赤十字病院 歯科衛生課、4. 石巻赤十字病院 呼吸器内科)
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【目的】
 我々はこれまで高齢肺炎患者に対する急性期病院入院中の歯科介入が,良好な転帰(生活の場への復帰)に寄与する可能性を示した(T Ohi, et al. JAMDA. 2025)。しかしながら高齢者の肺炎は退院してもその後の生命予後は必ずしも良好とはいえない。そこで本研究では「入院中の歯科介入は退院後の生命予後と関連するか?」との問いを立て,急性期病院に入院した高齢肺炎患者における入院中の歯科介入と,退院から2年の生命予後との関連について検討した。
【方法】
 対象は2017年11月以降に石巻赤十字病院に入院した65歳以上の高齢肺炎患者のうち,本研究への参加の同意が得られ,かつ退院から2年の生命予後を追跡可能であった777名(平均年齢82.4±7.6歳,男性71.0%)とした。患者情報は診療録から抽出した。予後は退院から1年後と2年後に転院先,患者本人あるいはその家族へ照会した.歯科介入の有無と生命予後との関連は多重ロジスティック回帰分析を用いた検討を行い,オッズ比(OR)と95%信頼区間(95% CI)を算出した。共変量は年齢階層,性別,肺炎の種類(市中肺炎または医療・介護関連肺炎),肺炎の重症度 (A-DROP score),入院前のADL,入院時の血清アルブミン値,入院日数,既往歴・併存疾患(脳血管疾患,心疾患,高血圧,糖尿病,慢性腎臓病,慢性閉塞性肺疾患,認知症),退院先(自宅,施設,転院),退院時の食形態(日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021)とした。
【結果と考察】
 対象者の入院日数の中央値は17日(四分位区間:12-27),入院中に歯科を受診したのは25.2%(196名)であった。歯科介入の内容は歯周治療,齲蝕治療,抜歯,義歯治療,粘膜疾患への対応など多岐に渡った。退院から2年の生存率は47.2% (367名)であった。多変量解析の結果,歯科介入の有無と退院から2年の生命予後は,他の因子と独立して有意に関連し,歯科介入ありの歯科介入なしに対する生存のOR (95% CI)は2.04 (1.32-3..14, p=0.0012)であった。本研究より高齢肺炎患者への急性期における歯科介入が,退院後の生命予後に対し優位にはたらく可能性が示唆された。(石巻赤十字病院倫理委員会承認番号:17-23)(COI開示なし)