講演情報

[優秀P地域-4]高齢心不全患者におけるFunctional Tooth Unitとオーラルフレイルの関連

○室田 弘二1、馬場 めぐみ1、寺尾 導子2 (1. 医療法人臨生会 名寄歯科医院、2. 医療法人臨生会 吉田歯科分院)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【目的】
 高齢心不全患者は高率に身体的フレイルを合併し,QOLの低下や心不全増悪による再入院,死亡率に大きな影響を及ぼすことが知られている。また,オーラルフレイルは身体的フレイルや低栄養と密接に関連することが報告されている。本研究の目的は,高齢心不全患者において,咀嚼機能を反映する指標であるFunctional Tooth Unit(FTU:機能歯ユニット)とオーラルフレイルとの関連を明らかにし,心不全診療における医科歯科連携の意義を検討することである。

【方法】
 対象は2024年4月から2025年1月までに名寄市立総合病院循環器内科に入院した高齢心不全患者79名(年齢78.1±11.7歳、女性46%)で,口腔内評価は歯科医師および歯科衛生士が実施した。現在歯のみの咬合を評価するn-FTU,現在歯と固定性補綴物を含めた咬合を評価するnif-FTU,可撤性補綴物も含めた咬合を評価するtotal-FTUを算出した。身体的フレイルはShort Physical Performance Battery(SPPB)9点未満,オーラルフレイルはOral Frailty 5-item Checklist(OF-5)2点以上を該当とした。統計解析は,各FTU指標と身体的フレイルおよびオーラルフレイルとの関連,各FTU指標を目的変数とした重回帰分析を行った。

【結果と考察】
 total-FTUは中央値11点(interquartile range[IQR]2–12)であったが,n-FTUおよびnif-FTUはいずれも中央値0点(IQR 0–2)であった。total-FTUは身体的フレイルおよびオーラルフレイルとの有意な相関を認めなかったが,n-FTUおよびnif-FTUは両フレイルと有意に相関した。さらに重回帰分析では,年齢や性別などの基本属性を調整後もオーラルフレイルとn-FTUおよびnif-FTUが独立して相関を認めた。これらの結果から高齢心不全患者においては,可撤性補綴物を含めた咬合の構成範囲を示す評価だけでは口腔機能を十分に反映できず,咀嚼能力に関与する咬合状態の評価が重要である可能性が示唆された。心不全診療において早期から歯科専門職が介入し,口腔機能の評価を行うことは,フレイルの予防や包括的な疾病管理に寄与すると考えられた。
(COI開示:なし)
(名寄市立総合病院 倫理審査委員会 承認番号:2024-28号)