講演情報

[優秀P地域-5]後期高齢者歯科健診によるフレイルのリスク低減に向けた研究

○佐川 敬一朗1,2,4,5、越路 千佳子2,4、駒橋 武2,4、鈴木 定幸2,4、若林 竹彦3,4、菊谷 武5 (1. 佐川歯科医院、2. 一般社団法人鹿沼歯科医師会、3. 一般社団法人足利歯科医師会、4. 一般社団法人栃木県歯科医師会、5. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)
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【目的】
 高齢者の健康長寿の延伸に向けて,フレイルへの対応が求められている。地域においてフレイルのリスクに繋がる口腔の状態,口腔機能低下,低栄養を早期に発見し対応していくことが必要不可欠である。栃木県鹿沼市では栃木県後期高齢者広域連合の委託を受け,令和5年より鹿沼市後期高齢者医療集団歯科健康診査を開始した。会場型で歯科健診および保健指導を一体的に実施することにより,フレイル予防の早期対応に取り組んでいる。本報告では,健診結果に基づき,地域在住高齢者のフレイルの関連因子の検討を行い,フレイルのリスク低減に向けて活用することを目的とした。
【方法】
 75歳,80歳,85歳を迎える対象者に受診券を郵送し,参加者を募った。健診項目は,現在歯数,機能歯数,舌圧,オーラルディアドコキネシス,EAT-10,イレブンチェック,MNA-SFを実施した。イレブンチェックで5項目以上該当をフレイル高リスク群,それ以外を低リスク群に分け,t検定およびMann-Whitney U検定により有意な差を認めた項目を説明変数として,フレイルを従属変数とする二項ロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%とした。
【結果と考察】
 受診者は137名(男性58名,女性79名,平均年齢76.3±2.0)であった。フレイルの高リスク者は42名(30.7%)であった。単変量解析により,フレイルの関連項目として,機能歯数,EAT-10,MNA-SFが抽出された。二項ロジスティック回帰分析の結果,性別,年齢で調整すると,機能歯数,EAT-10,MNA-SFがフレイルの有意な説明変数として抽出された。フレイルのリスク低減に向けては,食べやすい口腔環境を維持することは必要不可欠である。本健診を契機に歯科受診を勧奨し,口腔環境を整備することが重要であることが示された。また,フレイルのリスク低減に向けた早期対応として,各年代に対して実施している各種健診事業はその一助になると考えられた。生涯を通じて,口腔機能や嚥下機能を良好に保ち,栄養状態の維持ひいては健康寿命の延伸を実現するために,かかりつけ歯科が持つべき機能を歯科医師会員に啓発していくことも重要であると考えられた。(COI 開示:なし) 
(日本歯科大学 倫理審査委員会 承認番号 NDU-T2023-32)