講演情報
[優秀P一般-4]嚥下反射の惹起遅延を客観的かつ非侵襲的に評価する新たな手法の開発
○園田 彩乃1、玉田 泰嗣1、佐々木 誠2、角田 大樹2、清水 咲織2、Lee YunChien1、奥村 拓真1、三浦 和仁1、渡邊 裕1 (1. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室、2. 岩手大学大学院 総合科学研究科 理工学専攻 機械・航空宇宙コース)
【目的】嚥下反射の惹起遅延は、誤嚥リスクを高めるため嚥下機能検査において重要な評価項目である。しかし、嚥下反射の惹起遅延は、VFやVEなどにおいて、検査者の主観により評価されている。そこで、筋活動を評価する最新の手法である筋シナジー解析に着目した。筋シナジー解析は、筋活動を空間的要因と時間的要因に分解し、その次元は筋数よりも少なく、複雑な筋協調パターンを定量化する手法である。空間的要因は時間的に不変な筋の相対的活性化レベルを表し、時間的要因はその活性化レベルに対する時間依存的な重み付け係数を表す。本研究では,嚥下反射惹起のタイミングを,VFやVEを用いることなく,客観的かつ非侵襲的に評価する方法を検討した.【方法】 被験者は,嚥下障害を有する高齢男性患者とした.検査食は,バリウムを含有した水3 mlととろみ水3 mlとし,VF動画像と表面筋電位(sEMG)信号を椅子座位にて2試行ずつ計測した.sEMG信号計測には,4チャンネルフレキシブル電極を,前頸部の計5箇所に貼り付け,嚥下運動を制御する舌骨上筋群と舌骨下筋群の筋活動を得た.VF動画像から,嚥下開始に伴う舌尖の運動開始と,嚥下反射開始に伴う急速な舌骨挙上の開始のタイミングを抽出し,その時間差からとろみの有無による嚥下反射開始までの時間の違いを求めた.次に,sEMG信号から,非負値行列因子分解を用いて,3つの筋シナジー(シナジーA,B,C)を抽出した.本研究では,このうち時間的要因に着目し,各シナジーのオンセットと最大振幅の時間差を求め,VF結果との比較を行った.【結果と考察】 筋シナジーから求めた嚥下開始から嚥下反射開始までの時間差は,水が平均1.82秒,とろみ水が平均2.23秒であり,VFとの誤差はそれぞれ平均0.15秒,0.02秒であった.また,水はとろみ水と比べて早期に口腔から咽頭内に流入する特徴を,筋シナジーの特徴点から捉えることができた.嚥下障害患者の筋活動から3つの筋シナジーを抽出することで,とろみの有無による嚥下反射開始までの時間の違いを定量評価でき,VEやVFを用いることなく嚥下機能を評価できる可能性が示唆された.COI開示:なし.(岩手大学研究倫理審査委員会、承認番号202314)
