講演情報

[O10-3]当院訪問診療によるがん患者に対する医療処置と栄養指標の解析

太田 浩志1, 秋本 悦志2 (1.秋本クリニックひろしま駅北, 2.秋本クリニック)
【緒言】終末期がん患者の療養場所の選択は、患者・家族の終末期の生活の質に大きく影響する。国民の55~60%以上が在宅療養を希望する一方、実際の在宅死は12~17%にとどまり、在宅医療では十分な医療処置が困難であるとの認識が依然として根強い。
【目的】在宅医療が緩和ケア病棟(PCU)と比較して遜色ない医療を提供できているかを明らかにするとともに、栄養・炎症指標が在宅終末期がん患者の生存期間に与える影響を検討する。
【方法】2020年1月から2025年12月に当法人で在宅医療を行ったがん患者626例を対象に、医療処置の実施状況を後方視的に集計した。併せてmGPS、NLR、PLR、PNIを算出し、生存期間との関連を解析した。
【結果】2025年の訪問診療件数は8,701件、在宅看取りは129例であった。対象626例のうち男性56.1%、年齢中央値77歳、在宅介入日数中央値は35日であった。原発巣は大腸が最多で、肺、胃、膵が続いた。オピオイド使用率、オキシコドン注射液持続投与、ステロイド投与、持続鎮静の割合はいずれもPCUと遜色なかった。胸腔・腹腔穿刺、在宅高カロリー輸液、輸血など侵襲的処置も実施可能であった。
【考察】在宅医療は終末期がん患者に対し、PCUと同等の医療を提供し得ることが示唆された。また、栄養・炎症指標は在宅終末期がん患者の予後評価に有用である可能性が示された。
本研究は特定非営利活動法人 医療ガバナンス研究所 研究倫理審査委員会の承認(倫理審査番号:MG2024-02-R2)を得て実施した。