講演情報
[O11-2]『ケア会議』はどこまで広がるのか
ー在宅医療における多職種協働の成熟と拡張ー
島 由衣, 大蔵 暢 (やまと在宅診療所白石)
【はじめに】前回の発表では、療養環境や療養ゴールの検討を目的とした『ケア会議』の実践を通じ、その有効性と課題を活動報告として示した。継続的な実践の中で、ケア会議は単なる課題解決の場にとどまらず、多職種協働のあり方や意思決定支援の構造そのものに変化をもたらしていることが示唆された。本発表では、ケア会議がどのように成熟・拡張してきたのかを整理し、その発展過程を報告する。【活動】参加メンバーは医療・介護職に加え、相談支援専門員、行政担当者などへと拡大した。これにより、議論の焦点は医療的課題にとどまらず、制度活用や生活支援、患者・家族を含めた当事者意識の醸成へと広がった。また、オンライン開催を導入したことで、迅速な会議設定や遠方事業所の参加が可能になった。会議の頻度が増加した一方で、発言の偏在や沈黙の生じやすさといった進行上の難しさが顕在化し、ファシリテーションの役割が重要となった。さらに、他事業所がファシリテーターを担う機会が増え、チーム内のパワーバランスや役割認識に変化がみられた。【考察】ケア会議における参加者・開催形態・運営の変化は、多職種協働のプロセスそのものを再編成していると考えられる。これらの変化は、ケア会議が固定化された手法ではなく、状況に応じて生成・変容する場であることを示すと考える。今後は、テーマや目的の共有を含むプロトコル整備を進めるとともに、参加者の語りや相互作用に着目した質的分析を行い、ケア会議の発展過程とその効能を理論的に明らかにしていきたい。
