講演情報
[O11-3]嗜癖問題を抱える人と共依存関係にある家族を支える
~多職種連携で摂食嚥下リハビリテーションの継続が可能となった症例を通しての考察~
細矢 康子1, 天間 みか子1, 細矢 和弘1, 森川 裕美2 (1.株式会社わかば在宅支援センター, 2.シャローム若葉第2居宅介護支援事業所)
【はじめに】 本報告は、嗜癖問題と共依存関係が示唆される利用者とその家族への支援を通じて、精神衛生の向上と健康増進が得られた症例を紹介するものである。特に、摂食嚥下リハビリテーションの継続における多職種連携の効果に焦点を当て、実践的な考察を加える。 【症例】 症例報告にあたり、患者の個人情報保護に配慮し、家族より書面にて同意を得た。対象は80歳代男性(A氏)。アルコール依存症と肝硬変を有し、妻との関係には共依存が示唆された。1~2か月ごとに誤嚥性肺炎を併発し、入退院を繰り返していた。妻の要望により退院時に厳しい摂食条件が提示されたが、退院後は「夫は私が世話しないとダメになる」という心理的負担と介護疲弊、A氏のストレスが増大し、暴力を伴う夫婦喧嘩が散見された。まず生活リズムの調整から介入を開始し、訪問医・ケアマネージャーと連携して支援を進めた。通所介護スタッフとの連携も強化し、口腔ケアと摂食条件を遵守した食事介助が継続できた。福祉用具専門相談員の助言により、自宅・通所ともに適切な摂食姿勢が確保された。夫婦とも夜間睡眠が安定し、妻は日中にA氏と離れる時間を持つことで精神的余裕を得た。以後、暴力行為は消失し、誤嚥性肺炎も10か月間再発なく経過している。アルコールはノンアルコール飲料に置き換え、晩酌の楽しみは維持されている。 【考察】 本症例における多職種連携の効果は、ケアマネージャーによる柔軟かつ個別性を重視したケアプランと継続的なモニタリングに支えられていた。また、訪問看護、介護職、福祉用具専門職がそれぞれの知識と技術を発揮し、包括的な支援が実現された。今後も、複雑な背景を持つ利用者への支援には、医療・福祉の垣根を越えた連携が不可欠である。本症例報告に関連する利益相反は存在しない。
