講演情報
[O12-2]在宅歯科診療における摂食機能、低栄養リスク、口腔関連生活の質(QOL)に対する効果の検討
手銭 ひろ1,2, 大日方 雪乃1,2, 戸原 雄1,2, 高橋 賢晃1,2, 佐藤 路子1,2, 水越 新人1, 田村 文誉1,2, 福井 智子3, 菊谷 武1,2 (1.日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック, 2.日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科, 3.杉並区歯科保健医療センター)
【目的】多施設における在宅歯科診療患者のリアルワールドデータを用い、歯科介入が摂食機能、低栄養リスク、口腔関連生活の質(QOL)に及ぼす効果と、その転帰に関連する因子を縦断的に検証することを目的とした。【方法】令和6年から7年の間に全国5医療機関にて訪問歯科診療を開始し同意を得た患者163名(男性80名、女性83名、平均年齢82.8歳)の中から、追跡期間中の診療中止、入院、死亡を除外し、3か月後追跡者94名(平均年齢84.5歳)、6か月後追跡者55名(平均年齢84.7歳)を解析対象とした。基礎情報他、摂食状況(FOIS)、低栄養リスク(MNA-SF)、主観的嚥下評価(EAT-10)、口腔関連QOL(GOHAI)を収集し、その経時的変化と関連因子を統計学的に検討した。なお、本研究は日本歯科大学倫理審査委員会の承認を得て行われた(NDU-T2024-03)。【結果】3か月後にFOIS、MNA-SF、EAT-10において有意な改善が認められ(p<0.05)、GOHAIにおいても改善傾向がみられた(p=0.05)。6か月後においては、MNA-SFに有意な改善が維持された(p<0.05)。ロジスティック回帰分析の結果、3か月後のEAT-10の改善には天然歯数が、MNA-SFの改善には年齢が関連していた。また、3か月および6か月後のGOHAIには、天然歯数と開始時のGOHAI得点が有意な関連を示した。【考察】訪問歯科診療の介入により、摂食状況、低栄養リスク、主観的嚥下評価、QOLの改善又は改善傾向が示された。特に低栄養リスクは6か月後も改善効果が維持されていた。改善の背景には天然歯数の多さが寄与している可能性が示唆された。一方で、歯科介入による患者立脚型アウトカム(PRO)評価は実施困難な者が多く、在宅医療の現場に適した評価法の開発が望まれる。(科学研究費助成事業24K13057)
