講演情報

[O12-3]HOT遠隔モニタリングを契機に高流量鼻カニュラ療法導入に至ったⅡ型呼吸不全患者の一例

青木 康弘1, 佐野 恵里奈2, 内藤 紫2, 阿部 博樹4, 原 史郎3 (1.プラーナクリニック呼吸器内科, 2.プラーナクリニック看護部, 3.プラーナクリニック総合診療科, 4.プラーナクリニック医療技術部)
【はじめに】Ⅱ型呼吸不全患者に対する酸素療法ではCO2ナルコーシスのリスクに配慮が必要である。在宅医療の現場では、適切な酸素使用、緊急時対応、急性増悪の早期発見など多くの課題が存在する。近年、遠隔モニタリング技術が進歩し、在宅酸素療法(HOT)においても2018年より遠隔モニタリング加算が保険収載された。今回、HOT遠隔モニタリングを活用することで、高流量鼻カニュラ療法(High-Flow Nasal Cannula Therapy:HFNC)の導入に至った症例を経験したので報告する。
【症例】90歳女性。X-10年2月、血痰を主訴に当院初診。肺結核後遺症による血痰、肺高血圧症、心不全に対する治療を開始した。X-7年8月にⅡ型呼吸不全を呈しHOT(1L/min)を導入。以後、息苦しさは徐々に増悪しADLは低下傾向となった。X年6月よりNPPVを併用したが、自覚症状の改善は乏しく強い口渇の訴えがみられた。X年9月よりHOT遠隔モニタリングを開始したところ、CO2ナルコーシスへの不安から1日に20~30回もの酸素流量切り替えを行っていることが判明した。これらをふまえHFNC(NPPVからの切り替え)を提案したところ、患者はメリットを強く実感し速やかな導入に至った。
【考察】HFNCはHOT単独に比べてCO2ナルコーシスのリスクが低く、加温加湿による口渇対策が可能である。本症例では、HOT遠隔モニタリングにより患者の行動や不安が可視化され、HFNC導入の意思決定を円滑に行うことができた。一方、在宅におけるHFNCは精製水コストや保険適応疾患の制限、遠隔モニタリング加算の算定要件など課題も多く、今後の普及に向けた制度整備が望まれる。(倫理委員会承認済)