講演情報
[O12-4]気道クリアランス維持を目的に在宅ハイフローネーザルカニュラ療法を導入した小児の1例
河野 千佳, 水谷 亮, 鞍谷 沙織, 飯田 宏美, 中澤 温子, 平野 静香, 雨宮 馨, 宮田 章子 (さいわいこどもクリニック在宅診療部)
【はじめに】訪問診療を必要とする小児患者の多くは複雑な基礎疾患を有し,呼吸障害を含む多様な合併症を伴い,医療的ケアを要する重症例が多い.そのため家族の介護負担も大きく,特に体調不良時は顕著となる.近年,ハイフローネーザルカニュラ療法(以下,HFNC)は小児の急性期呼吸管理において,主に病院で広く使用されている.成人領域では在宅HFNCの慢性呼吸障害への有用性が示されている一方で,小児の在宅HFNCの有効性に関する報告は限られている.今回,当院で経験した小児在宅HFNC症例について報告する.【症例】難治性てんかんを有する重症心身障害児の3歳4か月男児.医療的ケアとしては経管栄養と,自然気道だが体調不良時のみ在宅酸素を使用していた.唾液嚥下困難による分泌物貯留があり,低緊張のため咳嗽反射も弱かった.感冒時には容易にSpO2低下を来し,頻回の吸引や排痰に時間を要し,普段の状態へ回復するまでに1ヶ月以上を要することもあった.そのため,気道クリアランス維持を目的に,2歳11か月時にHFNCを導入した.導入は体調安定時に行い,流量は1L/kg/分に設定した.導入初期は1日30分程度から開始し,本人の慣れと介護者の機器操作への習熟を図った.分泌物貯留が目立つ際には装着時間を延長し,最終的には終日装着可能となった.導入前後でETCO2および静脈血ガス中CO2値に著変はなかったが,回復期間は約1週間に短縮した.介護者からは、回復期間短縮による介護負担の軽減や,通園の早期再開が可能となった点が利点として挙げられた.経過中に合併症や有害事象は見られなかった.【考察】在宅HFNCは小児の呼吸障害に対して安全に導入でき,気道クリアランスの維持や分泌物貯留の軽減により呼吸症状の回復を早めた.その結果,介護負担の軽減や通園再開など社会生活の維持に寄与し,患者・家族のQOL維持に有効な手段と考えられた.
