講演情報
[O13-4]訪問看護におけるエコーでの直腸観察により、浣腸の頻度の適正化を行い便秘関連症状が緩和できた重症心身障害児の一例
内田 三恵1,2, 松本 勝3 (1.楽らくサポートセンター レスピケアナース, 2.こもれび在宅診療所, 3.石川県立看護大学 共同研究講座ウェルビーイング看護学)
【はじめに】近年、慢性便秘症と様々な疾患・生活の質との関連性が注目されている。重症心身障害児においても慢性便秘症は高頻度に発症し、その管理は体調維持と生活の質に直結する重要な課題である。排便管理において超音波検査(以下、エコー)を用いた便貯留の可視化が訪問看護の場で拡大しつつあるが、重症心身障害児の症例報告は未だ少ない。本報告では、エコーを用いた直腸観察により浣腸頻度の適正化と便秘症状の緩和が得られた重症児の一例を報告する。【症例】対象者は10代男性の重症心身障害児。誤嚥性肺炎を繰り返し、数カ月前から胃ろう造設と在宅酸素療法の導入となった。1年ほど前から便秘が慢性化し、緩下剤と浣腸を処方されていたが、便性状の変動が大きく介護者が投与の要否判断に苦慮する状況が続き、嘔吐回数が増加していた。便秘の評価のために訪問看護時にエコーを実施したところ、排便後にも関わらず直腸内に広範囲の便貯留を認め、直腸横径が4.3cmであり、既報の便秘症カットオフ値を大きく超えていた。排便ケアへの介入の必要性があると判断し、エコー画像を介護者と共有しながら浣腸の必要性を説明した。2日に1回の浣腸から開始し、週1回のエコーと身体診察・問診を併用して排便ケアを調整した。最終的に毎日の浣腸を実施することで、嘔吐の消失、経口摂取量の増加、酸素投与量の減量、笑顔が増えるなどの便秘関連症状の緩和を認めた。【考察】訪問看護での問診と身体診察に加えてエコーによる直腸観察を導入することは、エコー画像という客観的かつ可視化された情報に基づいた排便ケアの適正化の一助となり、便秘症状の緩和につながり得る。先行文献では、直腸横径が便秘症の重症度や治療効果の評価へ関連するとされており、今後は排便ケアに伴う直腸横径の経時変化と症状との関連性を明らかにすることが課題である。
