講演情報

[O14-2]医療的ケア児の肺炎管理と入院回避からみた小児在宅医療の質の評価

水谷 亮, 雨宮 馨, 鞍谷 沙織, 河野 千佳, 飯田 宏美, 中澤 温子, 平野 静香, 宮田 章子 (さいわいこどもクリニック 在宅診療部)
【目的】医療的ケア児や重症心身障害児の下気道感染は重症化しやすく、入院加療を要することが多い。一方で、小児在宅医療の介入により入院回避が可能な症例も存在するが、定量的データは乏しい。今回、小児在宅医療における肺炎管理の実態を検討した。【方法】2024年4月~2025年3月に、当院(小児専門在宅診療所)が定期訪問した小児92例を対象に、肺炎・下気道感染(以下、肺炎)と診断した症例の治療内容・転帰を前向きに検討した。肺炎の診断は成人の改定McGeer Criteria(Stone 2012)に基づき、発熱に加えて、新規咳嗽・分泌物増加・多呼吸・SpO2低下・新規聴診所見のうち2項目以上を満たす場合とし、小児市中肺炎重症度分類で中等症以上(入院推奨)を解析対象とした。本研究は倫理審査の承認を得た。【結果】基礎疾患は神経・筋疾患と染色体異常が75%で、重症心身障害児84%、超重症児スコア平均27.4点で、経管栄養93%、気管切開61%、人工呼吸器59%だった。発熱・呼吸器症状のべ250件中、44件(27例)を肺炎と診断した。在宅対応は酸素投与91%、内服薬追加77%、吸入療法64%、呼吸器/排痰補助装置の設定変更52%、抗菌薬内服32%だった。フォロー期間は平均8.8日で、臨時往診3.1回、電話診察4.3回行った。最終転帰は30件(68%)が在宅で軽快、14件がER紹介、うち12件が入院した。在宅軽快群は入院群と比較して、人工呼吸器使用率が有意に高かった(78% vs 25%、p<0.05)。【考察】医療的ケア児の肺炎において、在宅診療の介入により抗菌薬使用を抑制しつつ約7割の症例で入院を回避できた。また人工呼吸器装着児は在宅療養が困難とみなされやすいが、十分な支援体制があれば在宅での対応が可能だった。評価指標が明確でない小児在宅医療において、本研究は在宅医療の質を評価した点で意義がある。