講演情報

[O15-4]歩きやすさ指数JPWIと死亡場所割合の関連:全国自治体パネル生態学研究

村松 圭司1,2 (1.医療法人社団おうちの診療所附属おうちの研究所, 2.千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センター)
【目的】全国の歩きやすさと死亡場所の地域差の関連を明らかにする。
【方法】厚生労働省が公開する『在宅医療にかかる地域別データ集』から2014〜2023年の自治体別死亡場所割合を取得し、全国郵便番号界ウォーカビリティ指標(JPWI)*を郵便番号単位から自治体に集約して結合した。2014〜2016年と2021年は欠損が多いため解析から除外した。1,741自治体、6年分のデータを用い、自宅死亡割合、老人ホーム死亡割合及び両者を合算した在宅系死亡割合を目的変数として回帰分析を行った。JPWIは自治体内の郵便番号界の中央値を主指標とし、平均値と人口密度で重み付けした平均値でも感度分析を行った。年、都道府県、高齢化率、人口規模を共変量とした。公開集計データのみを用いるため倫理指針の適用対象外と判断した。
【結果】在宅系死亡割合は平均21.7%であった。JPWI中央値と在宅系死亡割合の回帰係数は0.033、p=0.51で関連は認められず、人口規模による効果修飾も明確ではなかった。自宅死亡割合は回帰係数0.096、p=0.028で、JPWI中央値が高い自治体ほど有意に割合が高かった。老人ホーム死亡割合は回帰係数-0.056、p=0.49で有意な関連はみられなかった。JPWIの集約指標を平均値や人口密度で重み付けした平均値に替えると結果は一貫しなかった。
【考察】歩きやすさは在宅系死亡割合全体とは関連しなかったが、自宅死割合とは正の関連が示唆された。徒歩圏で生活を回しやすい環境は、本人や家族の移動や支援を継続しやすくし、在宅療養の選択肢を支える可能性がある。今後は医療・介護資源などの地域要因を加えた検証により、関連の解釈と頑健性を高める必要がある。

*谷本涼・埴淵知哉・中谷友樹(2023):全国郵便番号界ウォーカビリティ指標の整備と有用性の検討.季刊地理学 75-1, 16-26