講演情報

[O3-2]小学校全学年への「折れない心を育てるいのちの授業」継続実施の試み―レジリエンスと相互支援の醸成を目指して

濱田 努 (きいれ浜田クリニック)
【はじめに】 近年、児童生徒の不登校や自殺者数は過去最多を更新しており、子どもたちが抱える「生きづらさ」への対応は喫緊の社会課題である。当地域においても不登校児童の割合は高く、子どもたちの心のケアと、困難にしなやかに対応するレジリエンスを育む支援の必要性が高まっている。本報告では、地域小学校の全学年に対し、継続的に実施している「折れない心を育てるいのちの授業」の実践と今後の展望について報告する。【活動】 1年から6年までの学年別に作成した「いのちの授業」プログラムを令和3年度より小学校の各クラス全学年で毎年1回実施した。本活動では担任と連携して配慮が必要な児童等の情報を共有し、対話形式の授業を展開する。内容は苦しみの定義や、解決困難な苦しみを抱える人への「聴く力」、そして「自分も相手も大切にする」の精神を主軸とする。単なる知識伝達ではなく、自身の苦しみを言語化し、他者の苦しみに想いを馳せるプロセスを重視する。児童の感想文では「自分は一人ではない」という自己肯定感の向上や、「次は自分が誰かを支えたい」という他者への支援意欲の芽生えが多く確認され、教員からも意識変容の報告が寄せられている。【考察】 本活動の最大の特徴は、小学1年生から6年生まで毎年途切れず学びを積み重ねる点にある。発達段階に応じた継続的な対話は、児童と講師の信頼関係を深め、解決が難しい苦しみを抱えても穏やかさを保つ心の土壌を育む。また、児童同士が互いの苦しみに気づき、最も身近な支え手となる意識が醸成されることで、地域全体の予防的なセーフティネット機能も期待される。今後の課題は客観的な効果測定である。地域・学校・専門職が連携し、子どもたちが「わかってくれる人がいる」と実感できる社会の実現に向け、本活動を継続・発展させていきたい。