講演情報
[O3-4]医療介護職員の抑うつ状態に対する参加型ホスピタルアートの効果の検証
久野 遥加1,2, 岩田 祐佳梨3, 後藤 亮平4 (1.フロイデクリニック水戸, 2.ホームクリニックなぎの木, 3.筑波大学芸術系, 4.筑波大学医学医療系地域総合診療医学)
【目的】近年、医療介護施設では職員のメンタルヘルス向上を目的とした環境整備の重要性が高まっており、医療従事者のストレス軽減対策としてホスピタルアートが注目されている。本研究は、参加型ホスピタルアートによる医療介護職員の抑うつ状態の変化を明らかにすることを目的とした。【方法】研究デザインは自記式調査票を用いた縦断研究(研究倫理カテゴリーⅣ-A)で、対象は、日常業務においてアート企画(絵画制作など)を行っている介護施設で、研究同意を得られた医療介護職員とした。評価項目は、Patient Health Questionnaire-9日本語版(以下、PHQ-9)を用いた抑うつ状態や職場でのコミュニケーションに関する項目について、感情を花びらの色で表現する作品制作の前後での変化について質問した。筑波大学医の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】対象者は32名で、年齢は40〜50代が多く、職種は介護職員や理学療法士が多かった。企画8か月後のPHQ-9では、「興味の減退」が数日以上認められる割合が45.3%から12.5%に低下するなど、一部の項目で改善がみられた。自由記載では、仕事のやりがいについて「自分の心の状態を視覚で確認でき、前向きな気持ちになった」、職場でのコミュニケーションについて「アート企画が会話のきっかけになり、コミュニケーションが増えた」という回答があった。企画前後でのPHQ-9の値や仕事のやりがいの変化はほぼなかった。【考察】参加型ホスピタルアートは、介護医療職員が日常業務の合間に自身の感情と向き合い、癒しや前向きな感情を得る機会を提供することで、ウェルビーイングの向上に寄与する可能性があると考えられた。さらにアート企画が職員間の会話のきっかけとなり、コミュニケーションを促すことを通じて、医療介護施設における心理的サポートや職場環境の改善につながる可能性が示唆された。
