講演情報
[O4-4]反復するポート感染に対してエタノールロック療法を導入した一例
庵坂 学外2,1, 松島 和樹2,1 (1.医療法人川崎病院, 2.川崎病院・川崎在宅クリニック)
はじめに在宅中心静脈栄養患者のポート感染は重大な合併症で、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)予防策の確立が課題である。エタノールロック療法(ethanol lock therapy: ELT)はCRBSI頻度低減に有用だが、保険適用外である。本症例では反復するポート感染に対してELTを導入し、良好な経過を得たので報告する。症例70代男性で、難治性クローン病にて小腸穿孔・右半結腸切除後、小腸ストーマ造設後であった。多量のストマ排液による脱水対策として在宅中心静脈栄養をX-3年より施行した。しかし、X-1年までに計6回のCRBSIを発症し、その都度ポート交換や抗菌薬ロック療法を要した。治療を見直し、ロペラミド塩酸塩15mg/day投与により経口で水分を維持できポート無しとなるも、X年には連日の末梢静脈点滴に依存するようになった。末梢静脈路確保も困難でミッドラインカテーテルを挿入したが、短期間でCRBSIを発症した。再度ポート留置を要し、感染対策としてELT併用を計画した。院内倫理委員会で妥当性を協議し承認を得た。70%エタノール2mLを4時間ポート内ロックし、その後吸引回収して生理食塩水でパルシングフラッシュした。エタノールとヘパリン併用で沈殿形成の報告があるため、ヘパリンロック不要な血液の逆流防止弁付きのポートを選択し、材質はエタノール耐性のシリコン製を選択した。院内薬剤部、看護師、訪問看護師、院外薬局と連携し在宅でELTを継続する体制を構築した。その後CRBSIの再発なく経過している。考察ELTは保険適用外だが、本症例では倫理委員会承認のもと実施し、多職種協働によって在宅でも継続できた。ELTの詳細なプロトコルを文献に基づき設定し、CRBSIの再発なく経過している。今回の経験から、ELTは反復するポート感染例において、感染制御に有用な可能性が示唆された。
