講演情報

[O6-2]自宅と施設で看取られた高齢者の臨床的・社会的特徴に関する探索的研究

米川 詩音, 金井 文彦, 佐藤 優介, 脊出 正紀 (医療法人社団永研会ちとせクリニック)
【目的】看取りの場の選択には、本人の希望に加え、社会的要因が影響している。自宅での看取りを希望する者は4割以上にのぼる一方、2023年の厚生労働省の調査では、死亡場所の内訳は自宅17%、施設14%、病院69%であった。本研究では、自宅および施設で看取られた高齢者の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】2024年1月から12月に当院で看取りを行った65歳以上の患者187名を対象とした。性別、死亡時年齢、死因、訪問診療開始日から死亡までの日数、初診時のアルブミン値、栄養経路、障害高齢者の日常生活自立度(JABCスコア)、臨床的認知症尺度(CDR)、要介護度、経済的状況(生活保護受給の有無)、独居か否かを後方視的に調査した。各項目について、自宅看取りと施設看取りの2群間比較をした。本研究は日本在宅医療連合学会倫理委員会の承認(承認番号2025-15)を得て実施した。
【結果】自宅看取り(A群)は31名、施設看取り(B群)は156名であった。B群では、癌による死亡の割合が高かった(p<0.001)。A群では、訪問診療開始日から死亡までの日数が長く(p=0.007)、初診時のアルブミン値(p=0.007)およびJABCスコア(p=0.005)は高値であった。また、A群では経口摂取の割合が高く(p=0.003)、独居の割合は低かった(p<0.001)。
【考察】自宅看取り群は、施設看取り群と比較して、訪問診療開始日から死亡までの期間が長く、診療開始時点での栄養状態や日常生活動作が相対的に保たれており、経口摂取が可能で、同居者を有する割合が高いことが示された。これらの結果は、自宅での在宅療養が継続していた患者に共通する背景を反映している可能性がある。療養の継続の可能性を検討する上で、訪問診療開始時点での患者の臨床的状況や、社会的背景を含む評価が重要であることが考えられる。