講演情報
[O7-4]在宅強心剤投与を継続しながら飲酒希望を尊重した一症例
―本人の意思を尊重したQOL向上と安全管理の両立を目指した意思決定支援プロセスの検討―
木村 珠美 (仙台駅東クリニック)
【はじめに】在宅医療では、医学的リスク管理と患者の生活の質(QOL)を両立させる調整が重要となる。本症例は、心不全の増悪を繰り返し強心剤持続投与が離脱できない患者に対し、「飲酒をしたい」という本人の生活上の希望を尊重しつつ、安全性を担保した在宅支援を継続した経過から、在宅医療における意思尊重と安全管理の両立について考察した。
【症例】70歳代男性、要介護1、妻と二人暮らし。低心機能による慢性心不全(HFrEF)、重度三尖弁閉鎖不全、洞不全症候群、非持続性心室頻拍、植込型除細動器留置、甲状腺機能低下症を有し、X年以降心不全増悪により毎年入退院を繰り返していた。X+4年5月に心不全増悪で入院しドブタミン4γ開始、2γまで減量するも症状悪化し在宅移行時も2γ継続となった。本人・家族の希望により8月から当院の在宅医療へ移行した。退院直後に本人より「晩酌をしたい」との希望があり、医療チームで飲酒に伴う脱水・溢水・転倒・相互作用などのリスクを説明し、飲酒量と体調確認に関するルールを設定した。訪問診療では全身状態評価と異常時対応体制を整えた。また不眠の訴えに対し面談を行い、予後不安や入院中の厳格な指導が心理的負担となっていたことが判明した。医師による病態と治療方針の再説明を行い、不安が軽減した。飲酒は退院1ヶ月後に再開し、その後約6ヶ月間心不全の増悪なく安定した在宅生活を継続中である。
【考察】基幹病院との退院前からの多職種連携と情報共有が在宅移行後の安定につながった。飲酒希望に対しては価値観を尊重しつつリスクを共有し合意形成を図ることで、安全な生活継続が可能となった。心理面では対話を通じた理解の再構築が不安軽減と在宅適応に寄与した。高度な在宅医療介入下においても、患者の生活史・希望を尊重する対話と多職種連携が、QOL向上と安全管理の両立に重要であると示唆された一例であった。
【症例】70歳代男性、要介護1、妻と二人暮らし。低心機能による慢性心不全(HFrEF)、重度三尖弁閉鎖不全、洞不全症候群、非持続性心室頻拍、植込型除細動器留置、甲状腺機能低下症を有し、X年以降心不全増悪により毎年入退院を繰り返していた。X+4年5月に心不全増悪で入院しドブタミン4γ開始、2γまで減量するも症状悪化し在宅移行時も2γ継続となった。本人・家族の希望により8月から当院の在宅医療へ移行した。退院直後に本人より「晩酌をしたい」との希望があり、医療チームで飲酒に伴う脱水・溢水・転倒・相互作用などのリスクを説明し、飲酒量と体調確認に関するルールを設定した。訪問診療では全身状態評価と異常時対応体制を整えた。また不眠の訴えに対し面談を行い、予後不安や入院中の厳格な指導が心理的負担となっていたことが判明した。医師による病態と治療方針の再説明を行い、不安が軽減した。飲酒は退院1ヶ月後に再開し、その後約6ヶ月間心不全の増悪なく安定した在宅生活を継続中である。
【考察】基幹病院との退院前からの多職種連携と情報共有が在宅移行後の安定につながった。飲酒希望に対しては価値観を尊重しつつリスクを共有し合意形成を図ることで、安全な生活継続が可能となった。心理面では対話を通じた理解の再構築が不安軽減と在宅適応に寄与した。高度な在宅医療介入下においても、患者の生活史・希望を尊重する対話と多職種連携が、QOL向上と安全管理の両立に重要であると示唆された一例であった。
