講演情報
[O8-2]認知症高齢者の誤嚥性肺炎入院例における入院前の在宅医療と死亡退院との関連~DPC全国データを用いた多疾患併存を考慮した検討~
桵澤 邦男1, 木村 琢磨2, 千葉 宏毅3, 藤森 研司4, 大田 英揮1 (1.東北大学病院 メディカルITセンター, 2.東京科学大学 総合診療科 / 介護・在宅医療連携システム開発学講座, 3.北里大学 医学部 医学教育研究部門, 4.東北大学)
【目的】認知症高齢者の誤嚥性肺炎入院例について、入院前の在宅医療による死亡退院の抑制効果を、多疾患併存を考慮して明らかにする。【方法】データソースとして、厚生労働科学研究事業による、我が国の急性期入院医療の代表性を有するDPC全国データ(年間、約1,100病院、約700万症例)の、令和4~5年度分を用いた。65歳以上で、最も医療資源を投入した傷病名が誤嚥性肺炎であり、併存症に認知症を有する患者を抽出した。他院からの転院例は除外した。死亡退院をアウトカムとして、在宅医療の有無と、共変量として性別、年代、入院経路(自宅、施設)、要介護度、チャールソン併存疾患指数(CCI)、救急車搬送、入院時の人工呼吸およびICU入室を投入した多変量ロジスティック回帰分析を行った。さらにCCIに含まれる併存疾患の数を用いた層別解析を行った。本研究は筆頭著者の所属施設における倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】適格症例として47502例(在宅医療有:13265例、無:34237例)が抽出された。死亡退院は8522例(在宅医療有:2299例、無:6223例)であった。在宅医療有りは、在宅医療無しに比べて、女性、95歳以上、要介護度4~5、CCI高値、救急車搬送の割合が有意に高かった。入院時の人工呼吸割合は有意に低かった。多変量解析では、在宅医療有りは死亡退院の調整オッズが有意に低かった(調整オッズ0.944・95%信頼区間0.895-0.997)。層別解析では、認知症以外の併存症を2つ以上有する患者で、死亡退院の調整オッズは在宅医療有りで有意に低かった。【考察】認知症高齢者の誤嚥性肺炎患者において、入院前の在宅医療は死亡退院の抑制と関連していた。またその抑制効果は、認知症に加えて併存症を2つ以上有する多疾患併存の患者において、より顕著であることが示唆された。
