講演情報

[O8-3]在宅医療を利用する高齢者の救急外来受診と日常の介護が可能な介護者の存在との関連

福原 慧1,2,3,4, 木村 琢磨5, 福原 真理1,3, 馬渕 卓3,6, 平原 佐斗司1,6, 橋本 正良3 (1.東京ふれあい医療生活協同組合 梶原診療所, 2.東京ふれあい医療生活協同組合 ふれあいファミリークリニック, 3.東京科学大学 医学部 総合診療科, 4.聖路加国際大学大学院 公衆衛生学研究科, 5.東京科学大学 医学部 総合診療科 / 介護・在宅医療連携システム開発学講座, 6.東京ふれあい医療生活協同組合 オレンジほっとクリニック)
【目的】在宅医療を利用する高齢者の救急外来受診率と日常の介護が可能な介護者の存在との関連を明らかにする。【方法】2024年4月1日から2025年11月30日、東京都内2診療所(A, B)で訪問診療を受けた65歳以上の居宅患者を対象とした後ろ向きコホート研究を、倫理承認を得て実施した。救急外来受診回数をアウトカムとし、診療録上の統一フォーマットで日常の介護が可能と記載されている介護者(日常の介護が可能な介護者)の有無を主説明変数とした。居住形態(家族同居 vs 独居)および訪問看護利用の有無に加え、年齢・性別・主病名(がん、心不全、慢性呼吸器疾患、脳血管疾患、認知症、その他)・要介護認定区分・診療所(A, B)を共変量として調整し、追跡人年をオフセットとして人年あたりの救急外来受診率を多変量ポアソン回帰分析(robust標準誤差)で解析した。【結果】解析に用いた全ての変数で欠測がない解析対象者は402名で、うち、救急外来受診を1回以上経験した患者は166名、日常の介護が可能な介護者あり264名であった。居住形態および訪問看護利用の有無を含む背景因子を同時に調整したモデルでは、日常の介護が可能な介護者の存在は救急外来受診率の低下と関連した(受診率比を示すIncidence Rate Ratio (IRR) = 0.55、95% CI 0.33–0.90、p = 0.017)。一方、日常の介護が可能な介護者を調整した条件下では、居住形態や訪問看護利用は、いずれも救急外来受診率の低下とは関連せず、家族同居(IRR = 1.60、95% CI 0.98–2.60、p = 0.058)で、むしろ受診率が増加する傾向がみられた。【考察】在宅医療を利用する高齢者において、居住形態にかかわらず、日常の介護が可能な介護者の存在が救急外来受診の抑制に重要である可能性が示唆された。