講演情報

[O9-1]知的障害者の家族が望む「人生の最終段階における医療・ケア」

黒崎 史果, 黒崎 史朗, 大嶋 茉莉子, 菊地 志津枝, 山崎 源太, 鈴木 敦子 (菅間在宅診療所)
【目的】障害者施設入所中の知的障害者が老衰死を迎える時、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に沿った対応には困難を伴う。当院が担当した施設入所中の知的障害者3例は、初診時には親が他界しており、本人意思の確認は困難だった。親族がいない1例では入所職員と最善の方針を検討した。きょうだい(障害者の兄弟姉妹)がいた2例は施設での看取りを希望したが、施設は対応不可だった。3例とも死亡直前に救急搬送し、入院後は水分点滴を実施され1日~21日で死亡した。この経験から、親が存命中に知的障害者のACPに取り組むこと、障害者施設の看取り体制構築が必要と考えた。
【方法】(1)知的障害者の親やきょうだい、(2)障害者施設職員や後見人等の支援者、を対象とした勉強会を各5回開催した。(1)では、①死にゆく人の身体の変化、②人生の最終段階に受ける医療行為、③終末期や看取りの場、④老衰死、⑤施設や支援者との関係構築、という内容で90分の講義を行った。勉強会の最後にはアンケ―ト調査を実施した。(2)では①②③に加えて、親が存命のうちにACPに取り組む必要性を伝えた。
【結果】(1)50名、(2)70名から回答を得た。(1)では半数以上が施設看取りを希望した。(2)では、入所者とのACP実施には9割が「取り組みたい」と回答をしたが、看取り実施は約半数に留まった。看取りに消極的な理由は、医療者の支援がない、看護職員がいない、看取りの知識や経験がない、が多かった。
【考察】全国調査では終末期・看取りケアに前向きな障害者施設は約20%に留まっており、この問題は当地区に限ったことではない。今後は勉強会を通じて交流した施設や家族と共に、障害者や家族の希望が叶う体制づくりを考えたい。
 本研究は社会医療法人博愛会臨床倫理委員会の承認(承認番号25-005)を得て行われました。