講演情報

[OEL05-2]在宅での呼吸器感染症への対応 その限界と可能性
ー細菌性肺炎・肺結核についてー

松本 政実1, 寺島 常郎1, 河田 陵2, 宇佐美 範恭2, 山田 千晶2, 尾崎 玄2 (1.医療法人社団青楓会 西小牧クリニック, 2.医療法人社団青楓会 北名古屋クリニック)
1995年03月 長崎大学医学部医学科卒業
1995年05月 小牧市民病院(臨床研修)
2001年04月 名古屋大学医学部呼吸器内科
2005年10月 一宮市立市民病院呼吸器内科
2019年10月 医)青楓会 北名古屋クリニック院長
2022年10月 医)青楓会 西小牧クリニック院長
超高齢化と在宅医療の拡大に伴い、在宅で遭遇する呼吸器感染症(市中肺炎、誤嚥性肺炎、肺結核)への対応は現場の資源とガイドラインの折り合いが課題である。成人肺炎診療ガイドライン2024(日本呼吸器学会)では診断・治療の原則(短期化・耐性リスク評価)を示しており、在宅でも初期治療の適正化が求められるとしている。しかしながら喀痰検査やポータブルレントゲンは診断精度を上げる一方で実施・解釈の限界(採取困難、感染対策、画像の質、機器費用)を伴うため、検査体制の整備や訪問看護師等との連携が必要である。さらにガイドラインでは高齢者・誤嚥性肺炎・NHCAP(医療・介護関連肺炎)領域で「患者の状態に応じて治療強度を調整する」「延命目的の治療を必ずしも優先しない」という指摘もあるが、このためには「家族・介護者への説明」「治療目標の共有」つまり日頃から家族・介護者とコミュニケーションを重視し、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)にて治療目標を共有をしておくことが肝要となる。肺結核や非結核性抗酸菌症ではニューキノロン系の使用が診断や治療に影響を与える可能性があり、耐性化や公衆衛生上の配慮から慎重な薬剤選択が必要である。予防面では在宅医療でも肺炎球菌ワクチンや口腔ケアが肺炎の発生抑制に寄与している可能性が示唆されており、家族・介護者への教育とともに在宅医療を担う医師ー歯科医師間での連携が不可欠である。在宅での呼吸器感染症対応における理想は「在宅での迅速診断→適正治療→必要時の速やかな病院連携」だが、現実は人員・機器・検査体制などの制約がある。在宅医療での呼吸器感染症への対応は限界をわきまえつつも、機器の進化・地域連携の強化・標準化されたプロトコールの構築等により可能性を広げる段階に入っているのではないかと感じている。