講演情報

[OS01-5]地域包括ケアにおける鍼灸師の役割~函館市における在宅医療連携の実践~

益井 基 (益井東洋鍼灸治療院)
1986年3月 明治鍼灸短期大学 卒業
1986年11月 益井東洋鍼灸治療院 開設
2016年4月 函館鍼灸マッサージ師連絡協議会会長  7月 函館市医療介護連携推進協議会作業部会メンバー
2017年1月 道南在宅ケア研究会会員  5月 がん対策応援フォーラムメンバー
2018年4月 南渡島地域包括緩和ケアネットワーク(MOPN)世話人
2019年4月 函館市介護認定審査会 委員
函館市は全国の多くの地域と同様に高齢化が進行し、地域医療の担い手不足が顕在化している。疼痛や不定愁訴、身体的・精神的フレイル、急な体調変化、受診困難といった課題を抱えながら、在宅や高齢者施設といった生活の場で療養する高齢者が増加する中、医療・介護のみでは十分に支えきれない場面も少なくない。
実際の現場では、介護保険サービスが上限に達し新たな支援の導入が困難な症例や、ADL低下が進行しているものの、身体を動かす際の疼痛が強く、リハビリテーションや日常動作が思うように進まないといった相談が、医師、ケアマネジャー、訪問看護師、施設職員、介護者から寄せられている。こうした状況において、療養費制度を活用し柔軟に介入できる鍼灸は、生活の場での療養を支える一つの医療資源となり得る。一方で、鍼灸師が居宅や施設内での施術に関与する際には、医療職との役割理解の違いや情報共有の方法、介入タイミングの判断など、医療多職種連携における課題が存在することも事実である。
函館市では、函館市医療介護連携推進協議会への参画、多職種を対象とした鍼灸に関する研修会の実施、地域で広く活用されている医療介護ICT(ID-Link)を用いた施術患者の情報共有を通じ、医療・介護・行政との顔の見える関係づくりを10年以上にわたり継続してきた。その結果、慢性疼痛と活動性低下を併せ持つ在宅療養者や高齢者施設入所者に対し、鍼灸師が医療・介護チームと共に関与する機会が生まれ、疼痛緩和を通じたADL維持や生活の質の向上を目指した連携が徐々に広がっている。
本シンポジウムでは、当院での症例を通して、生活の場における鍼灸師の関与の実際とともに、医療多職種と連携する上で直面した課題や工夫について共有し、地域包括ケアを補完するための鍼灸師の役割について検討する。