講演情報

[OS10-3]地域の在宅医療における薬剤師の在宅訪問の位置づけ:自治体の医療介護レセプトデータ分析

中野 寛也1,2 (1.茨城県, 2.筑波大学ヘルスサービス開発研究センター)
学歴
2013年 筑波大学医学群医学類 卒業
2026年 筑波大学人間総合科学研究群人間総合科学研究科博士課程(医学学位プログラム)卒業
職歴
2014年 〔新都市医療研究会[関越]会〕関越病院 臨床研修医
2016年 筑波大学総合診療グループ つくば家庭医・病院総合医プログラム(後期研修)
2020年 つくばセントラル病院 総合診療科医師
2026年 茨城県(公衆衛生医師)、筑波大学ヘルスサービス開発研究センター 客員研究員
薬剤師による在宅訪問は、制度的には医療保険による訪問薬剤管理指導あるいは介護保険による居宅療養管理指導として実施される。薬剤師の在宅訪問の重要性は、服薬アドヒアランスの向上を通じた治療効果の確保、医療安全、看護職・介護職の負担軽減、医療費適正化など様々な側面から指摘されている。さらに第8次医療計画においては、高度な薬学管理を担う機能の充実が明記された。
 しかし、現在のところ、薬剤師の在宅訪問の実態、例えばサービス提供や利用などの点からみた特徴は必ずしもよく知られていない。本講演では、薬剤師の在宅訪問について、自治体の医療介護レセプトデータを用いた分析から明らかになった知見を整理して紹介する。
 具体的にはまず、在宅訪問を行っている薬局の数や薬剤師の在宅訪問を受けている患者の推移および特徴を示す。一市のデータからは薬剤師の在宅訪問を受けている患者数や要介護認定者における利用割合は2014年度から2018年度の5年間にかけて増加傾向であった。一方、在宅訪問の算定を届け出ている薬局のうち実際に応需しているのは約5割であり、同期間中に大きな変化はみられなかった。また、薬剤師の在宅訪問を利用する患者の特徴としては、65歳以上の者、要介護度1~5の者が約90%を占め、有料老人ホーム・グループホーム入居者は全体の40~50%であった。次に、一県のデータを用いて、高度な薬学管理のニーズが高いと考えられる、医療用麻薬や中心静脈栄養(TPN)製剤の処方があった在宅医療(訪問診療/訪問看護)受療者における薬剤師の訪問実態について検討した。TPN製剤は医療用麻薬と比べて薬剤師の在宅訪問の算定が多く、麻薬製剤の中では注射薬・外用薬の算定が多かったこと等が明らかとなった。
 本講演ではこのような内容を通じ、臨床・研究・行政などにとって基礎的かつ記述的な知見を、医療計画の視点を踏まえつつ共有する。