講演情報

[OS10-4]臨床事例とリアルワールドデータからみる薬剤師の在宅訪問の見える化

田口 怜奈 (国立長寿医療研究センター)
学歴
2014年 東京理科大学薬学部 卒業
2019年 浜松医科大学 大学院医学系研究科 博士(医学)
2022年 東京大学 大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 公衆衛生学修士(専門職)
職歴
2015年 浜松医科大学医学部附属病院 薬剤部
2021年 株式会社hitotofrom まんまる薬局
2022年 医療経済研究機構 研究部 研究員
2025年 国立長寿医療研究センター 長寿医療研修部高齢者薬学教育研修室 特任研究員
地域に根ざした薬局および薬剤師は、専門性を活かした薬学的介入と多職種との協働を通じて、地域包括ケアシステムの担い手として期待されている。厚生労働省は「患者のための薬局ビジョン」において、薬局の重要機能の一つとして在宅対応を位置づけ、推進してきた。
 一方で、在宅医療の現場において薬剤師がどのように関与しているのか、実情や全体像は十分に共有されていない。薬剤師の在宅訪問は年々増えているが、訪問のタイミングが他職種と合いにくいことや、カンファレンス参加の機会が少ないことなどから、他職種にとって薬剤師の実務が見えにくいとする報告がある。演者自身、薬局薬剤師として在宅訪問を経験する中で、「他の薬局ではどのように対応しているのか」「今回うまくいった対応は他の患者にも当てはまるのか」といった疑問を抱く場面が少なくなかった。
 本講演では、在宅医療の現場における薬剤師と患者との関わりについて「臨床現場での具体例」と「リアルワールドデータ」の両面から、その実態を整理する。具体的には、地域で暮らす高齢者の医療・介護レセプトデータを用いて、次のような疑問に答える形で話を進める。
・薬剤師の在宅訪問サービスを利用しているのはどのような患者か
・どんな状況だと在宅訪問が導入されやすいのか
・いったん始まった在宅訪問は、どのくらいの期間続くことが多いのか
・途中で利用しなくなる場合、どのような理由が考えられるのか
 また、患者像を処方薬の特徴だけで捉えるのではなく、服薬に影響しやすい背景として、身体機能や認知機能、食事・栄養状況なども含めて示す。これにより、薬剤師との連携を模索する多職種にとっても、連携の組み立てに役立つ具体的な情報となることを目指す。臨床現場での具体例と、地域高齢者を広く捉えたデータ解析の結果をあわせて議論することで、薬剤師の在宅訪問について解像度を高める一助としたい。