講演情報

[OS16-1]「訪問薬剤師を経験した在宅療養支援診療所薬剤師の立場から」

深堀 泰弘 (ファミリークリニックさっぽろ山鼻)
2004年3月 北海道医療大学薬学部卒業
2004年4月 株式会社ツルハ入社 
2010年   在宅訪問薬剤師専任となる
2017年1月 日本調剤株式会社入社 在宅医療部北海道エリア担当
2020年4月 ファミリークリニックさっぽろ山鼻入職
2022年4月 J-HOP(全国薬剤師・在宅療養支援連絡会)北海道ブロック長就任
【取得資格】
在宅療養支援認定薬剤師、プライマリ・ケア認定薬剤師
在宅医療の現場では多職種協働が不可欠である。一方で、地域の薬局や薬剤師に対して「ただお薬を配達しているだけ」「カンファレンスに参加せず顔が見えない」「報告書の内容が形式的で活用しにくい」といった、いわゆる「困った」というネガティブな要望は決して少なくない。私は長年、薬局に所属する訪問薬剤師として現場に携わってきたが、現在は在宅療養支援診療所(在支診)に勤務し、より在宅訪問医に近い立場で多職種協働の中核に関わっている。この両者の立場を経験する中で痛感したのは、薬局薬剤師が抱える「対物業務の負担や物理的制約」という葛藤と、医師側が求める「薬学的知見に基づいた即時性のある提案」との間にある大きなギャップである。例えば、多くの薬局薬剤師は「残薬調整」を報告するが、医療側が本当に知りたいのは「なぜ飲めなかったのか」という背景と、それに対する「剤形変更や服薬回数の整理」といった一歩踏み込んだ提案である。こうした情報の質の乖離が、薬剤師の専門性が見えにくい要因となっている。本シンポジウムでは、在宅現場で実際に寄せられた薬剤師へのネガティブな要望を分析し、その背景にある業務構造やコミュニケーションの課題を整理する。また、在支診薬剤師という立場から、これらの要望を単なるクレームとしてではなく、連携を深化させるための「伸びしろ」としてどのように受け止め、薬局薬剤師へ共有・翻訳してきたかを具体例を交えて紹介したい。具体的には、他職種が参考にしやすい報告書の内容など、「薬剤師に頼んでよかった」と思わせるための仕掛けについて詳説する。ネガティブな要望は個人への批判ではなく、仕組み改善への重要なサインである。薬局と在支診の双方を経験する薬剤師が介在することで、「困った」を「次に活かす視点」へ転換し、より実践的で持続可能な多職種協働の構築が可能になることを共有したい。