講演情報

[P1-150]自殺企図の対応に苦慮した脊髄小脳変性症の一例

谷口 育昌, 今西 真理子, 白倉 美香, 須崎 奈緒, 平 恵, 辰石 香織, 中田 紀子, 中村 優子, 松下 千華子, 満崎 道子, 若林 愛実, 門田 耕一郎, 高橋 優二, 渡海 大隆, 野元 健行 (重工記念長崎病院)
【はじめに】身体疾患を合併した精神疾患患者の救急対応において、受け入れ先の確保や搬送方法に難渋するケースは少なくない。今回、脊髄小脳変性症(SCD)に伴う自殺企図に対し、治療介入までの調整に極めて苦慮した症例を経験したため報告する。【症例】40歳代、男性。 X-6年、SCDと診断され、A病院神経内科でフォローされていた。 X-3年、自殺企図によりA病院精神科を受診し、うつ病と診断されるも、その後通院自己中断。 X-2年2月、ADL低下に伴い当院訪問診療・看護に紹介となった。 X-1年4月、再度自殺企図あり。当院へ入院後、複数の精神科病院(内科併設を含む)へ併診を依頼したが、SCDという病名を理由に全て断られた。退院後は訪問診療・看護を継続。 X年10月、三度目の自殺企図あり。希死念慮は強く、本人は入院を拒絶し、家族はパニック状態であった。措置入院の必要性を判断し、A病院精神科に相談したところ、保健所または警察への相談を指示された。 保健所からは「精神保健福祉法第22条に基づく書面申請は時間を要するため、緊急時は警察へ」と回答があった。臨場した警察からは「同法第23条(通報)には該当しない」として救急要請を指示された。救急隊は「本人の同意がない」と搬送を拒否した。最終的には、警察官が「本人には判断能力が欠如している」と認定して、当院へ救急搬送した。その後、県の精神保健福祉センターへ転院し、適切な治療が開始された。【考察】本症例では、身体疾患の存在が精神科受診への大きな障壁となっていた。また自殺企図という緊急時において行政・警察・救急の連携が機能しなかった。 難病患者の精神症状増悪に対し、精神科医による緊急往診体制の整備や、多職種が迅速に連携できる救急システムの構築が不可欠であると考える。