講演情報
[P1-151]訪問診療で精神科を活用しよう
市村 篤1, 野中 洋平1, 渡邊 光行1, 邑山 美奈子1, 黒岩 義之1, 金森 隆成1, 田中 武則1, 平山 啓行2 (1.医療法人和啓会 メディクスクリニック溝の口, 2.医療法人和啓会)
【はじめに】訪問診療で精神科を活用することは大変有益と思われる。その具体例を紹介する。なお、本報告は、日本医学会連合「学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」に基づいている。当クリニックは外来、病棟の2部門からなり、常勤医が6名在籍する。年間1000例(施設850、在宅150)、うち精神科150例の訪問診療を行っている。【症例】症例1(80歳代、男性、在宅)。妻と2人暮らし。糖尿病と高血圧があるが、本人は、ケアマネ、ヘルパー、訪問看護師、訪問診療医師等が自宅内に入ろうとすると玄関に仁王立ちし、怒鳴りつけて全てを拒否するため、妻が困って精神科を依頼した。リスペリドン、バルプロ酸ナトリウムを妻から服用させてもらったところ、易怒性や拒否がなくなり、治療や介護がスムーズに進むようになった。症例2(90歳代、女性、施設)。帯状疱疹による痛みのため、頻回のコールあり。施設職員が少しでも訪室が遅れると、自ら救急車を呼ぶ行為あり。訪問診療を行っている内科主治医も、話が1時間以上になるため、疲弊して精神科依頼となった。夫や息子を亡くして寂しかった話等を傾聴し、精神療法を行ったところ、痛みも軽減し、頻回コールもなくなり、安定した。症例3(90歳代、男性、在宅)。最愛の妻が認知症のため施設に入居し、独居となった。妻に面会のため施設に行くと、妻の強い帰宅願望があり、抑うつ状態となったため、ケアマネから精神科依頼となった。悩みの傾聴を継続したところ、薬物を使用せずに、抑うつ症状は軽快した。【考察】2024年から、月1回、訪問看護師、ケアマネ、ヘルパー、施設長、地域包括職員等に対して、「在宅現場における精神科的対応法」の講演を行っており、概ね好評である。訪問診療場面で、精神症状への対応に困った場合に、精神科の介入で診療や介護がスムーズになることが多いので、上手な活用を推奨したい。
