講演情報

[P1-155]精神科訪問看護室の看護師がアドバンス・ケア・プランニングを主導した大腸癌患者の1例

金子 昌裕1, 川﨑 晴美2 (1.垂水病院 内科, 2.垂水病院 訪問看護室)
【はじめに】精神科の在宅患者では自立支援医療による精神科訪問看護だけが先行して入ることが多く、それらの看護師は長期に渡り患者の生物心理社会的問題全体についての情報を持つことになる。このため、患者の身体疾患が重篤化した際は、意思決定における最大の支援者となりうる。【症例】独居生活保護受給中でアルコール依存症についてA精神病院、末期大腸癌についてB総合病院に通院中の 63 歳男性。A 精神病院の精神科訪問看護室で週 2回の訪問看護が入っていた。ある時A 病院の訪問看護師に、B 病院の外来看護師から、「終末期の療養先について本人に聞いたところ A 病院を希望された」と突然連絡が入った。A 病院の訪問看護師が同院の精神科主治医と内科医へ相談し、内科医とともに外来で本人の意思を問う方針となった。2回に分けて外来で本人と面談し、調子が悪くなったら A 病院に入院して体調を整えようと思っていた程度で看取りの場所とは考えていなかったこと、なんとか外出できる現状で死ぬときのことを考えたくないので緩和ケア面談は受けたくない、最悪 A 病院で死ぬのもしょうがないかなとは思っている、ということを聞き取った。精神科主治医とも情報を共有し、必要時は終末期の療養場所として A 病院を提供するという方針になった。1 週間後に自宅で動けなくなり B 病院へ搬送、症状緩和のみする方針で A 病院へ転院され、約 2 週間で死去された。【考察】本症例では精神科訪問看護師が総合病院と精神科病院のスタッフとの間に入ることで、意思決定支援の必要な患者の終末期の療養方針の明確化が円滑に進んだ。精神科訪問看護は身体疾患が重篤化すると制度やスキルの問題から撤退するケースもある。しかし、精神疾患を抱える患者の終末期の意思決定支援は精神科訪問看護師が力を発揮する場面と思われ、可能な限り最後まで関わり続けることが重要と考えられる。