講演情報
[P1-167]脳神経内科専門医が担う訪問診療での役割の提言
ー神経難病、認知症における病型再診断と多職種連携の2症例ー
辻 雄太, 江頭 徳仁, 玉田 圭祐, 藤 海渡, 宮澤 匠 (つじ脳神経内科訪問診療クリニック)
【はじめに】在宅医療の現場では、神経難病や認知症患者が病院で診断確定後、専門的再評価を受ける機会が乏しいことがある。その結果、病型や治療内容が見直されないまま症状や生活機能が低下し、在宅生活の継続が困難となる例も少なくない。神経難病は経時的変化が大きく、在宅療養中であっても診断や治療方針の再構築が求められる。本報告では、脳神経内科専門医が訪問診療に介入し、神経学的再評価、薬剤調整、多職種連携を行うことで在宅生活の継続が可能となった2例を報告する。【症例】症例1は神経難病として退院したばかりの在宅療養中の患者で、症状進行により介護負担が増大していた。訪問診療にて詳細な症状経過の聴取と神経学的診察を行い、前医での診断とは少し異なる臨床像を呈していることが判明し、病型の再診断に至った。これに基づき、本人のADLを阻害している症状、家族の介護上の問題に対しての薬剤内容を見直し、訪問看護・訪問リハビリと連携し支援目標を再設定した。その結果、症状は安定し、日常生活動作が維持され、家族の介護負担軽減につながった。症例2は認知症として在宅療養中で、訪問診療下で生活状況を踏まえた詳細な問診と神経学的診察を行い、認知症の病型を再評価した。薬物療法の整理・調整とともに、多職種と連携して生活環境および介入方法を調整した結果、過鎮静を回避するとともに症状が軽減し、在宅生活の継続が可能となった。【考察】在宅医療においても、神経難病や認知症では診断や治療の再評価が重要である。脳神経内科専門医が訪問診療を担うことで、病型の再診断や治療最適化が可能となり、医学的評価を基盤とした多職種連携が促進される。本症例は、専門医の関与が在宅療養の可能性を広げ、患者・家族の生活の質向上に寄与する可能性を示唆する。また、専門医の知見を非専門医や多職種へ共有し、地域全体の「神経難病を診る力」を底上げする視点が不可欠である。
