講演情報

[P1-188]がん患者における栄養治療の重要性~がん治療期から終末期までできるだけ自宅で過ごすために~

大原 寛之 (日本赤十字社長崎原爆病院 緩和ケア内科)
【目的】がん患者と栄養、この両者が密接に関わっていることはもはや疑問の余地がない。今回当院におけるがん患者に対する、がん治療期から緩和ケア病棟に至る栄養治療の取り組みと結果を報告する。本研究は当院倫理審査委員会受審済(R3-673-1)である。【方法】研究1.2021年7月~2024年3月に当院緩和ケア内科外来で一部実施している『栄養サポート外来』に紹介となったがん患者42例のうち、がん治療中の21例を対象に、有害事象とその対応について調査した。研究2. 2023年5月~2024年3月までに緩和ケア病棟に入院、転帰確定した108名中の経口摂取状況と転帰との関連を調査した。【結果】研究1.17例(80.9%)に食思低下、11例(52.4%)に味覚障害を伴っていた。対応は21例全例にONSを提案、亜鉛製剤6例(28.6%)、アナモレリン・漢方薬の投与が各3例(14.3%)であった。12例(57.1%)が体重増加し、平均ΔBMIは0.4±2.0kg/m2であった。研究2.入院時経口摂取可能症例は78例(72.2%)で、「緩和ケア食」(嗜好食)を積極的に提供した。入院日数中央値は経口可能群vs経口不能群=13.5日vs12.5日(p=0.49、Studentのt分析)と変わらないものの、死亡退院例が、経口可能群vs 経口不能群=64.1%vs 86.7%(p=0.021,χ二乗分析)であった。【考察】がん治療期においては、栄養サポートを行うことで治療継続=在宅療養の継続につながり、がん終末期においても入院時点で栄養状態が良ければ、短期間でも帰宅が可能であること示唆された。つまりはがん治療期から栄養治療をしっかり実施することで、在宅療養期間を延ばす可能性があると考えられた。