講演情報

[P1-195]低心機能高齢腎不全患者に対するPalliative PD導入の一例

佐藤 あゆみ1, 鯉渕 清人2, 宮城 盛淳2 (1.済生会横浜市東部病院 診療看護師室, 2.済生会横浜市東部病院 腎臓内科)
【はじめに】低心機能と腎不全が併存する患者は、体液貯留から心不全症状を呈しやすい。また、高齢者の5~7人に1人は心疾患の既往があり、HDは循環動態への負荷が非常に大きい。そして、ADLの低下から通院透析が負担となり、療養場所の選択にも難渋する。近年、生命予後の延長よりも症状緩和や生活の質を重視する緩和透析の考え方が示されている。今回、低心機能によりHD継続が困難となった高齢患者に対し、腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)へ切替えることで、症状緩和と患者・家族の「自宅で過ごしたい」という希望が実現した一例を報告する。
【症例】79歳、男性。透析施設よりHDからPDへの切替え目的で紹介となった。PD導入目的の予定入院日、溢水で救急搬送された。入院後に体液調整を行い、5病日PDカテーテルを留置した。6病日HD併用でPD導入、12病日APDへ切替え、アシスト者の妻へ手技指導を開始した。20病日HDを離脱し、29病日PD単独で退院となった。介入として、妻への手技指導と並行し、退院後の療養について妻と面談を重ねて在宅移行調整を行った。退院翌日、地域の訪問看護師、介護支援専門員と患家で合流し、入院中の経過や妻のPD手技獲得状況などの情報共有を行った。結果、患者と妻の「自宅で過ごしたい」という希望が実現した。
【考察】本症例は、低心機能と腎不全が併存し心不全症状を呈する高齢患者に対し、Palliative PDに在宅サービスを組込むことで、症状緩和と患者・家族の希望に沿った療養が達成された。PDは、緩徐な除水により低心機能でHD継続が困難な高齢腎不全患者において、循環動態への負荷および療養・通院負担の軽減が可能な透析療法とされる。今後、高齢透析患者の増加が見込まれる中で、PDは在宅療養と調和可能な緩和透析の一選択肢となる。