講演情報
[P1-202]老衰死における訪問診療導入時期と医療介入との関連
~早期在宅介入の意義~
樋元 主税, 永井 康徳 (医療法人ゆうの森 たんぽぽクリニック)
【目的】人口の高齢化に伴い老衰死は増加しているが、老衰患者の訪問診療に関する報告は限られている。本研究は、老衰死患者における訪問診療の実態を明らかにすることを目的とした。【方法】2020年1月~2024年12月に死亡した当院訪問診療患者のうち、死亡診断書の直接死因が老衰であった269例を対象とした後ろ向き観察研究である。全国郵送式調査(727例)を参考に、死亡前1週間に行われた医療行為(輸液、酸素投与、抗菌薬、褥瘡処置、喀痰吸引、尿道カテーテル、採血、経管栄養)の有無を抽出した。訪問診療導入時の予後が日~週単位である場合を考慮して、診療期間(初診日から死亡日まで)を短期群(<1か月)と長期群(≧1か月)に分類し、Fisherの正確確率検定で解析した。【結果】当院の患者背景は、平均年齢91.6歳(全国92.8歳)、男性30.1%(全国25.2%)、短期群19.3%(全国13.5%)、自宅死亡55.0%(全国55.7%)であった。医療行為のうち、輸液施行率のみ全国調査より低かった(当院16.7%、全国32.5%)。当院症例を診療期間別に解析すると、短期群の輸液施行率は26.9%で、長期群14.3%より有意に高かった(p=0.038)。【考察】当院の輸液施行率は全国調査より低く、終末期に輸液を控える方針が反映された結果であったが、診療期間が短い症例では輸液が施行されやすい傾向がみられた。訪問診療導入が看取り直前となった場合、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を含む患者・家族との関係構築の時間が不足することが一因と考えられる。本研究は老衰死における訪問診療の実態を把握するとともに、早期在宅介入の重要性を示し、他機関との連携における実践的示唆を提供する。※本研究は日本在宅医療連合学会倫理・利益相反委員会で承認(番号2025-11)を得て実施した。
