講演情報

[P1-22]臨床倫理コンサルテーションチームによる地域アウトリーチ活動の報告:もやもや相談室の取り組み

日下部 明彦1,2, 小林 竜1, 小川 史洋1, 鈴木 姿子1, 渡邉 香織1, 入野 飛鳥1, 泉 桃子1 (1.横浜市立大学附属病院 臨床倫理コンサルテーションチーム, 2.横浜市立大学 地域医療・在宅医療学/総合診療医学)
【はじめに】
高齢化と多疾患併存が進む在宅医療では、治療選択や療養場所、家族との関係性など、医学的判断のみでは整理できない“もやもや”した課題が多い。こうした状況では、地域で臨床倫理支援体制を整える必要性が高まる。医療介護福祉職はそれぞれ異なる価値観や判断基準を持つため、共通の枠組みで事例を検討し、多職種で意思決定支援の質を高める場が重要である。そこで当院臨床倫理コンサルテーションチーム(CECT)は、令和6年度より地域多職種を対象に「もやもや相談室」を開催している。前回のテーマはDNARであった(参加者24名/12施設)。本年度も臨床倫理4分割法を用いた症例検討を実施した。【活動】
令和7年11月、地域の多職種と当院CECTメンバーが参加する臨床倫理カンファレンス「もやもや相談室」を開催した。テーマは「透析はしたくないと言われたら―あなたならどうしますか?」とし、①趣旨説明、②症例提示、③多職種混合ディスカッション、④発表、⑤講義とまとめ、で構成した。症例は高齢者の腹膜透析導入と看取りに関する意思決定の葛藤を含み、参加者は臨床倫理4分割法で価値観・医療適応・QOL・環境要因を整理した。参加者は医師、看護師、ケアマネジャー等33名(19施設)で、17名からアンケートを得た。【考察】
参加者からは「医療と福祉の視点の違いが共有できた」「自分が医療処置の選択肢を知らないことが患者のQOL低下につながる可能性を実感した」などの意見が寄せられ、多職種倫理検討の教育的意義が示された。また、患者・家族の死生観を普段から話せる関係づくりの重要性や、意思を推定できる人の有無で意思決定構造が変化する点への気づきも得られた。地域で倫理的課題を整理するプロセスを共有することは病診連携において重要であり、今後も継続的に開催し、広く参加者を集め、地域における意思決定支援の質の向上を図りたい。