講演情報

[P1-24]在宅療養、看取りにおいて信仰されている宗教の果たす役割と医療者の関わり方について~先天性心疾患および障害を抱えた患者とそのご家族の一例~

八木 悠祐1, 小原 章央1, 中西 清佳2, 阪下 早織2, 奥村 由香理2, 渡辺 康介1 (1.渡辺西賀茂診療所, 2.訪問看護ステーションにしがも)
【はじめに】在宅療養の場において、本人やご家族が紡いできた物語を尊重し、ACP策定の一助とする事が多い。そうすることで身体的苦痛だけではなく精神的苦痛についても共有し、緩和を図る事ができる。今回ご家族含めて信仰されている宗教がその一助となった症例を経験したので報告する。【症例】21トリソミーとアイゼンメンジャー症候群により、知的障害および重度の心疾患、低酸素血症がある50歳代女性。肺炎を起こす度に大学病院で入院加療を繰り返され、2018年6月から訪問診療および看護開始となった。訪問開始以降は感染症や脱水など起こされる事も度々あったが、検査や点滴などを行い回復され、入院したのは2023年11月にCovid-19に罹患された5日間のみであった。2025年に入った頃から酸素化が徐々に低下し、酸素の流量も増加傾向となってきた。その中でご両親を交えて今後の方針について話し合い、施設や病院ではなく何があっても自宅で家族一緒に過ごされる事を決断された。そこには宗教の教義で近い将来に世界からあらゆる病気がなくなるとされていること、そして重度の疾患と障害を持ちながらも生き永らえた患者本人が信者の中で象徴的な存在となっている事が支えとなっていた。しかしながら衰弱されていくご本人を見ながら、我々医療者もご家族のお気持ちを受け止めつつお話を重ねる中で少しずつ看取りを意識されてきたのか、10月に入り亡くなった後のお話をされるという変化が見られた。その後10月20日に母の腕の中で眠るように息を引き取られた。【考察】在宅医療はその方やご家族にとって物語の一部である。しかし本症例のように我が子を看取らなければならない両親にとっては苦痛であり、その緩衝の役割を担っていたのが宗教であった。物語の一部として医療者もその宗教を理解し受け入れる事で、ご家族にとっての最善の生活や医療の在り方を導くことが重要である。